バックカントリーガイドに聞いた「現場のリアル」

フリーライドカルチャーの広がりや日本のリゾートを訪れるインバウンドの増加など、バックカントリーをめぐる状況は変化を続けている。その道の事情通であるバックカントリーガイドたちに、いまどきの現場で起きていることや感じることを聞いてみた。

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Q. 最近のゲストの傾向や・現場で変化を感じていることはありますか?

Photo:JUNRINA mountain service

バックカントリーの“いま”をもっとも近くで見つめているのは、日々フィールドに立つガイドたち。ここ数年で見えてきたゲストの層や滑り方の変化を尋ねた。

長井 淳|JUNRINA mountain service

・年々新幹線利用が増えており、駅のピックアップが増えた。
・YouTubeで予習してくる人が増えた。
・雪崩講習会や雪崩業務従事者資格を受験するなど、お客様の勉強熱心な傾向を感じる。

中野豊和|INFIELD

パウダーシーズンのツアー参加者は増加傾向ですが、4月以降の残雪期のツアー参加者はあまり増えていない感じがしています。春のツアーでは、スキーやスプリットボードの機動力を生かして広範囲に移動したり、登山要素が多くなることも楽しさの1つです。そんな楽しみ方もたくさんの人に知ってほしいと思っています。

中川伸也|Natures

スプリットボードの使用率が格段に上がってきている。

峯岸健一 | KinTouNバックカ ントリークラブ

ガツガツしなくなったと感じます。

黒田 誠|黒田山岳ガイド事務所

慣れている方は、ちゃんと計画に合わせた装備を準備してくださるようになってきたと思います。以前はたくさん歩くツアーなのに、メタル入りの板やテックじゃないビンディングの方がおられたことがよくありました。

ブーツも柔らかく歩きやすいものを選んで下さる方が増えました。おかげで、歩行ペースが安定して、良いタイミングで入れる斜面の選択肢が増えました。

古瀬和哉|LOCUS GUIDE SERVICE 

コンディションのいい日は、曜日関係なくお申し込みが多く、みなさんコンディションの見極めが上手になりました。

田中久敬| Niseko Meccae

自身の動画撮影機材を持っていて、ツアーに持参するゲストが増えましたね。

舎川 朋弘|COLOR SPORT CLUB

山を求めるファンも、二極化していると感じます。
経験豊富な層はよりビッグなフィールドへ、よりディープに山を求め、中間層の方々はそう広い範囲でなく、少し狭い範囲での自力での行動で満足感を得ているように見受けられます。中間層ではゲレンデにほど近いエリアでの行動が主体ではないでしょうか。

中島 力|RIKI JAPOW GUIDE

アジア人ゲストもBCに入り始めるなど、海外ゲストがフィールドに溢れている。

五十嵐 和哉|か ぐらパウダーステ ーション

アジア系インバウンドのツアー、予約のキャンセルが多いんですよね……


Q. ゲストに 「BCでこれはやめて!」 と思う行動は、ありますか?

Photo:JUNRINA mountain service

自然の中では、ちょっとした油断が大きなリスクに変わる。安全で心地よい山時間を共有するために、ガイドたちが「これだけはやめてほしい」と感じている行動とは。

中島 力|RIKI JAPOW GUIDE

ご自身の実際の技量以上の自己申告をすることです。

黒田 誠|黒田山岳ガイド事務所

写真を撮ることは、問題ないのですが、雪崩地形を確実に外した場所を指定するので、それを守っていただきカメラを構えていただきたいです。自己判断で滑走中に雪崩地形の中で止まられる方も、初めて参加される方の中には稀におられます。
また、カメラを構えることで緊張して、滑りづらく感じておられる方も一定数おられるので、望んでいない方にはカメラを向けないでいただきたいです。

石沢孝浩| IDEHA

シーズン初めに多いのですが、マテリアルトラブルがよくあります。
ビンディングのネジが抜けたり、プラスチックが経年劣化で割れたりと、よくあることです。必ずツアー前にネジなどはマス締めし、スキー場ですべての道具を一通り使用してみて不具合がないかを確認してください。

また新品を購入した際も、同じようにスキー場で試してくること。実践のツアーでビンディングの使い方がかわらない、履くまでに10分もかかってしまうなど、他のゲストもテンションが下がりますし、何より本人が楽しめません。初めて使用するものは、スキー場などで一通り練習してからツアーに参加するようにお願いします。

古市竜太|マウン テンガイド・コヨーテ

自分中心の行動は危険だと思います。

古瀬和哉|LOCUS GUIDE SERVICE 

ツアーのログをアップすること。

長井 淳|JUNRINA mountain service

・ギアメンテナンスの不備
・非常に稀だがイヤホンしてる。
・急で開けた斜面のボトムで立ち止まる。
・チェストハーネスにウェアブルカメラ装着

峯岸健一 | KinTouNバックカ ントリークラブ

これはやめて!ということをすること。自分の限界を超えたオーバースピードで滑走すること。

佐々木翔平|CIRCLE GAME guide service

ガイドの指示を面倒くさがって聞かないこと。
休憩の時にジャケットを羽織らない、エネルギー補給しない、シールを雑に扱うなどなど。滑走前やリスク軽減のための指示はもちろんですが、こういう細かいことも実は安全に直結しています。

中野豊和|INFIELD

ノートラックの場所を求めて過ぎて危険な場所に入り込んでしまうこと。

佐藤真理子| Spur 秋田 mountain guide

ゴープロなどで撮りながらの滑走で、カメラを木にぶつけたりして、破損、紛失などで探したりなど、それらに時間がとられること。突然、追い撮りで同時に滑り出すこと。せめて言ってほしいし、どこでもできるわけじゃないです。時と場合によっては OK 出せるところもあるかもしれないけど、ゲレンデとは違うということをわきまえてほしいです。

滑走スキルが BC を滑るレベルに達していない場合や、滑れるけどハイクの体力が極端にない方。やめてとは思わないので、こちらからも聞き取りをしますが、積極的に事前に自己申告してほしいです。

田中久敬| Niseko Meccae

オーバースピードでの滑走や周りを見ない滑走です。

舎川 朋弘|COLOR SPORT CLUB

山に、そう絶対的なルールは存在しませんが、皆が心地よく楽しむにマナーがあります。そのマナーを前提に備えない入山者が多く見受けられるようになっています。
管理されない自然の中バックカントリーエリアにおいては、安全管理リスクを念頭にする行動が求められますが、ゲレンデと同じような感覚で入山してくる方が増えているように思います。

Q. “BC中級者”と“上級者”の差とは、どこに出ると感じますか?

Photo:JUNRINA mountain service

滑走技術だけでは測れないのが、バックカントリーの奥深さ。経験を重ねたガイドたちが見ている「中級」と「上級」の違いとは何か。滑走技術だけでは測れないのが、バックカントリー

荒川 智| GRANIX mountain guide

滑走技術やハイクアップ技術も含まれますが中級者は、基本的なスキルと知識は身につけているものの、予測できない状況への対応力や、リスクの高い状況での判断力に課題があります。

一方、上級者は、これらに加え、豊富な経験と多くの知識に基づいた的確な判断力、情報収集力、そしてあらゆる状況に対応できる総合的な能力を持っていると言えます。

舎川 朋弘|COLOR SPORT CLUB

お互いの行動を尊重し合うマナー的な側面を持ち合わせた行動ができているかどうか
です。

佐々木翔平|CIRCLE GAME guide service

それぞれの定義が難しいですが、何も情報がないところから紙の地形図だけで1日のプランニングができる方は間違いなく上級者だと思います。

長井 淳|JUNRINA mountain service

・ゲレンデの滑走技術の欠如やゲレンデオフピステ(パウダー含む)滑走経験の不足。
・滑走のラインどりを自分でイメージできるかどうか。地形や雪質の判断など。
・バックパックや荷物の適切な取捨選択。
・場所場所での適切な立ち振る舞い。
・コンディション予測による滑走具やギアの選択。

石沢孝浩| IDEHA

ツアースタート前に早めに来て準備ができる方。

中川伸也|Natures

予測を立てた行動ができるかどうか。

市竜太|マウン テンガイド・コヨーテ

心の余裕に差があります。   

黒田 誠|黒田山岳ガイド事務所

オフシーズンにクライミングや山歩きをされている方は、ご一緒していて安心感があります。滑り以前の問題が、やはり山では重要ですから。

峯岸健一 | KinTouNバックカ ントリークラブ

トラバース・雪質変化への対応

佐藤真理子| Spur 秋田 mountain guide

・⼭の中での⾏動(効率よくスムーズ)
・滑⾛スキル
・あらゆる雪への対応⼒
・どんな雪や地形でも楽しめる
・経験に基づく⼼の余裕がある
・ガイドの説明をちゃんと聞いてくれている

田中久敬| Niseko Meccae

周囲を確認しながらの安全なハイクアップ(トラックセット)、滑るときのライン取り。

古瀬和哉|LOCUS GUIDE SERVICE 

対応力と視野

十嵐 和哉|か ぐらパウダーステ ーション

安全管理

中野豊和|INFIELD

周囲を気にする余裕があるかどうかと、やはり滑走技術ですね。

中島 力|RIKI JAPOW GUIDE

体力とゆとりある判断。行動スピード。

Q. シーズン中のご自身の身体のケア方法は?

シーズンを通して山を案内するガイドたち。厳しい環境の中で体調を保ち続けるために、彼らが心がけているセルフケアの習慣を聞いた。

黒田 誠|黒田山岳ガイド事務所

シーズン初期にしっかり滑り込んで、体を冬用に切り替えてから、仕事のシーズンに入るようにしています。シーズン中は、余計なイベントや飲み会などは避けて、回復する時間を取れるようにしています。

石沢孝浩| IDEHA

規則正しい生活と定期的な全身マッサージ

古瀬和哉|LOCUS GUIDE SERVICE 

朝出かける前にZEN NUTRITIONのトラ、帰宅後ダルマを欠かさず飲んでいる。自然派安心のサプリ。

長井 淳|JUNRINA mountain service

栄養のバランスと良質な睡眠

佐藤真理子| Spur 秋田 mountain guide

・温泉とアイシングとストレッチ
・バランスの良い⾷事と睡眠

中川伸也|Natures

朝のストレッチ・roun cbdバーム

佐々木翔平|CIRCLE GAME guide service

シャワーだけでなく、お湯につかる。睡眠をしっかりとる。

田中久敬| Niseko Meccae

私も同じ。お風呂に入って身体を温めます。

荒川 智| GRANIX mountain guide

「よく眠り、体を整え、心を休める」
毎日6時間以上の睡眠を心がけてます。
ストレッチはお風呂あがりの役30分程度。
気分転換は遊びで山に入ることや、何もしないという日もあります。

舎川 朋弘|COLOR SPORT CLUB

ストレッチと深い睡眠をとるように心がけています。

十嵐 和哉|か ぐらパウダーステ ーション

ストレッチは欠かしません。

峯岸健一 | KinTouNバックカ ントリークラブ

温泉・サウナ!

中島 力|RIKI JAPOW GUIDE

温泉に浸かって十分に体を温めてからストレッチ!

中野豊和|INFIELD

温泉で心身ともにリラックスを。

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