バックカントリーのハイクアップが80%速くなる!?世界初の電動アシスト付きスキーマウンテニアリングデバイス「E-SKIMO」

バックカントリー界に革命が起きるのか? これをスキーにつけると、バックカントリーでの登坂が夢のように楽になり、スピードも爆上がりするという。スイスで生まれた世界初の電動アシスト付きスキーマウンテニアリングデバイス「E-SKIMO」とは?

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「E-SKIMO」とは? 

2025年1月、スイスの「E-Outdoor」という企業から、世界初となる登坂時に電動アシストしてくれるスキー?「E-SKIMO」が発表された。遠目から見ると一見、短めのツインチップスキーのようだが、よく見るとビンディングのトゥとヒールピース部分に突起状のキャタピラ?ベルトコンベアーのようなものがついている。どうやらこれが電動で作用することで雪の斜面の移動をサポートしてくれるようだ。

思い返せば自転車に電動アシスト技術が持ち込まれてe-bikeが出てきたとき、多くの人が驚いたろう。「E-SKIMO」の発想はe-bikeから得たという。確かに、あれがスキー板に搭載されたらスゴイ。と想像するのはたやすい。しかし聞いただけでは、このデバイスがどのように機能するのかイメージしにくいが、これを装着すると雪山の登坂が劇的に楽になることは本当のようだ。

上がヒール部分、下がトップ部分

「世界初の電動アシスト付きスキーマウンテニアリングデバイス」と称される「E-SKIMO」の開発の目的は、「スキーマウンテニアリング(山岳スキー)における登坂を容易にし、より多くの人々が山岳地帯を楽しめる環境を整えること。

開発した「E-Outdoor」は、スキーマウンテニアリングを、もっと手軽にエキサイティングで包括的なスポーツにすることをミッションとして、「E-SKIMO」を世に送り出したのだ。とはいえ、実は、この「E-SKIMO」はまだ生まれたて。

実は、CES(Consumer Electronics Show)という、毎年1月にアメリカ・ラスベガスで開催される世界最大級の技術見本市で、この2025年1月7~10日に初めてお披露目されたばかりなのだ。

「E-SKIMO」のInstagramによると、評判は上々だったようだ。

E-SKIMOの仕組み・特長

では一体、「E-SKIMO」は、どんなモノなのか? このデバイスが登坂をサポートする仕組みはこうだ。

最先端のセンサーと6軸慣性プラットフォームが搭載され、登坂時にはモーターが直感的に自動的に作動し、必要なときにブーストを提供、登坂をサポートする。と、いわれても、なかなかイメージが湧きにくい。公式サイトの実物の動画を見てみよう。

なるほど、ツアースキーにピンテックビンディングがついていて、登坂時にはかかとが自由に上下して効率よく歩行できる状態。これが電動モーターでアシストしてもらえるから、電気のパワーで牽引してもらっている感覚だろうか、楽に速く、急斜面でもスイスイと登れるというわけだ。

高度なトラックシステムによって滑らかな登坂が可能で、バッテリーパックは軽量で、長時間の使用が可能。1日バックカントリーでツアーリングを楽しんでも充電切れの心配はなさそうだ。

滑走するときはどうだろう? 通常のスキーと同じというわけにはいくまいが、「下降時には加速度や傾斜データを解析し、滑走を補助してくれる」という。これまたちょっと実際に乗ってみないことには、どのような滑りが可能なのか、ちょっと未知数だ。

何が変わるのか? その効力

「E-SKIMO」が登坂に革命を起こすことになるかもしれない点は、こんな数字から見てとれる。

● 登坂速度が最大80%速くなる
 1時間の登坂(約700m標高上昇、4.7km/h、スイス基準の中級難易度)で最大80%速く移動が可能。
標高上昇能力が4倍アップ
従来のスキーで1時間約150m程度登るのに対し、E-SKIMOなら4倍の700m登れる。
● 筋肉負荷の軽減
 滑走ステップ時のエネルギー消費が約30%軽減する(スキーマウンテニアリングの生物力学研究に基づく)。

これからの可能性

E-SKIMOは、世界の主要なスキーブランドと提携し、今後は汎用性を追求していくのだろう。TECNICAグループとのパートナーシップを締結したことも発表された。それが実際にどのようなアクションとなっていくのか、まだ明らかにされていないが、今後の「E-SKIMO」のゆくえは、注目していくおもしろさはありそうだ。

Information
E-Outdoor
https://e-skimo.swiss/

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