例年ハイシーズン中に開催されている、㈱ドリームゲートによるパウダー・フリーライド・ヒールフリーに特化した来季のニューモデルスキー試乗会が、3月最初の週末に開催された。会場はロングコースで名高い妙高杉ノ原スキー場、その様子をレポート。
青空のもと3㎞のロングライド!

㈱ドリームゲート社は、東京・神田をベースにアスペン/エフジャンク/フソウ&ブーツチューン/スキーショップ ベイルと、プロスキーショップを展開しているが、今回の試乗会はフリーライドにとくに強いSKI SHOP VAILが中心となって運営された。出展ブランドは、パウダー・フリーライド派やテレマーカーにとって有名人気のブランドばかり。
4FRNT/ARMADA/ATOMIC/BLACKCROWS/BLASTRACK/BLUEMORIS/BLIZZARD/CANDIDESKI/DPS/DYNAFIT/ELAN/EXTREM/FACTION/FISCHER/ICELANTIC/K2/LINE/MAJESTY/NORDICA/RMU/SALOMON/SCOTT/SEASON/SIMPLY/VOLKL/WAPAN/ZAG…

会場は妙高杉ノ原スキー場のセンターエリアに設置され、コンパクトなサイズ感。会場全体が一望でき、次はどの板に乗ろうと歩き回るのにも便利。すぐ下には全長3㎞の杉ノ原ゴンドラ乗り場があるので、板を履いたらゴンドラに一直線。3月1日の土曜日は雲ひとつない快晴で、ゴンドラからは野尻湖や北信濃の山々の絶景も楽しめた。
ゴンドラトップは標高1,489m。最大斜度26°のジャイアントコースを経て白樺コースへとたっぷり3㎞のロングライドができる。きれいにパックされたコースの雪質も上々で、コンディションに恵まれた試乗会になった。
プロライダーやスタッフのアドバイスで自分に合ったモデルが見つかる⁈


「試乗会はいろいろなモデルを乗り比べながら、気に入った板についてスタッフから詳しい話がたくさん聴けるからいい」というユーザーは多い。今回も各ブランドのブースには、メーカーのプロダクト担当だけでなく、チームのプロライダーの姿も複数見られた。さまざまなスノーコンディションで、そのブランドのモデルを乗り尽くしているライダーたち。
経験の豊かさはもちろん、プロの滑り手ならではの「スキーの性能、乗り味のフィーリング、どんな人にマッチしているか、などの巧みな言語化スキル」は素晴らしく、ユーザーがプロダクトを理解し、自分に合ったスキーなのかを判断するのにも、とても参考になるアドバイスがもらえる。実物のスキーを手に取りながら、軽さやフレックス、スキーのシェイプを確認したり、専門スタッフとのコミュニケ―ションを通じて得られる知識や情報は、カタログを眺めているだけでは決して得られない貴重なものだ。これが試乗会の大きな魅力。
どんなモデルがよく乗られたのか?人気度チェック
今回の試乗会は、事前予約の時点から大人気で、最初に設定していた定員枠100名(@1日)ではとても収まりきれず、急遽140名まで増員したほど。事前予約であれば無料だが、とくに快晴だった土曜日は1,000円と有料だったにもかかわらず、当日参加のスキーヤーも多数おり、かなりの盛り上がりだった。
そのような盛況のなか、各ブランドではどんなモデルが注目され、数多く試乗されたのか?編集部がブースをまわって聞いてみた。
K2|LINE|VOLKL(EOC)

プロダクト担当の福島さん(写真右)のコメント。
「今回はフリーライドに強いSKI SHOP VAILやF-JANCKさん主催の試乗会だから、センター100 ㎜以上、フリーライド系特化で持ってきています。試乗機でよく出たスキーは、Reckoner とMindbenderですね。Mindbender は96C(レディース)と106C が好評でした。カーボンならではの取り回しのよさとオールマイティな性能が、ユーザーさんに気に入ってもらえる理由かと思います」
「LINEでよく出たのはSAKANA。フィッシュテールのインパクトと取り回しのよさで人気です。また、PANDORA は、しっかり滑れるという評価をもらいました」
SALOMON

SALOMONでは、「Départ 1.0」と「QST BLANK」の人気が圧倒的で、スキーが雪上に置かれている時間がまったくなかったという。QST BLANKに乗ったユーザーたちの感想は、「思っていた以上にきちんと張りと返りがあって、ゲレンデも滑りやすいし、パウダーもこのまま入れる、パウダーを押せるんだろうなとイメージが湧く」などと、評価は上々だったそうだ。
また、「QST」もアップデートされ、女性が履きやすい長さやビジュアルが好評。女性に多く試乗されたという。「あまり強いという印象がないので、乗りやすい。使える人の幅が広いよね」といった声や、「今までオンピステ用の板を履いていた人が、今後太い板に乗るのに入りやすい板だよね」という声が多かった。
FACTION

最も多くのユーザーが集まっていたのがFACTIONだった。終日、人の流れが止まることがなかった印象。とくに人気だったのは「Agent シリーズ」だ。軽量かつオールラウンド、メタル入りでしっかり乗れるため、ターン派から熱い注目を浴びていた。スタッフは、初級者には「Prodigy」を、スピード派、中上級者には「Studio」をお勧めしていたという。
ICELANTIC

人気だったモデルは「Nomad 100」。ICELANTICスタッフによると、
「既にいろいろ板を持っていて、次は毛色の違った板を履いてみたいというユーザーさんに数多く試乗されたようです。今年の大雪もあって、太めの板の需要が高まっているんでしょうね。ブランドとして今後推していきたいのは、去年リニューアルした『Nomad』 と『Maiden』シリーズですね。今回はまだ’25-26季のモデルのデリバリーが間に合っていなかったんですが、この後、入ってきます。また今後の試乗会に期待してください。」
「毎年このカタログが楽しみで、集めているというユーザーさんも多いんですよ」とのこと。豪華なカタログをもらいに試乗会に行く、というのもいいかもしれない。
BLASTRACK

’25-26季の目玉は、ユニークな形状のデュアルテールを搭載した限定生産モデル「VA-DT(ヴァーサントデュアルテール)」で、今回の試乗会では1日中フル回転。
シリーズ初のフルモデルチェンジをした「IMPROVE90」、そして「ELIXIR」の最速モデル「E」と最軽量モデル「L」の2つも注目のニューモデル。「ELIXIR」はテレマーカーを含め、よく試乗されていた。しかしBLASTRACKの定番モデル「FARTHER」の人気は根強い。’25-26季へは新しいモールド、フレックスバランスを採用して、走破性・安定性・操作性が向上したという。
DPS

ブースに終日アテンドしていたライダーの篠田龍一郎によるイチオシはコチラのオールマウンテンフリーライド仕様の「KOALA111」。新しいハイブリッドカーボン構造が採用され、さらに操作性と安定性がグレードアップ、完全リニューアルされた。
ATOMIC

ATOMICのパウダー・フリーライド系スキーは、’25-26季はすべてグラフィックチェンジがなされた。太さのなかにも強さのあるオンピステ系の「MAVERICK」、パウダーからパークライドまで遊び心あふれる「BENTファミリー」、そして、ハイクアップが得意でバックカントリーに最適な「BACKLAND」と、フリーライドモデルは、大きく3カテゴリーに分かれるが、滑りの志向がはっきりしているユーザーにとって、非常に選びやすいのがATOMICスキーの強みだ。
今回の試乗会でも、目的意識の明確なユーザーがお目当てで乗りに来ていた傾向が見て取れたが、なかでも圧倒的人気だったのは、やはり「BENT」だった。グラフィックも人気の理由の一つだが、スタッフはこんなふうに話してくれた。
「BENTシリーズは、一般的なスキーの操作性を持ちながら、パウダーのなかでも滑りやすくて万能、なんでもできるんですよね。それでいて圧倒的に軽い。この点がユーザーにとても評価されているんだと思います。もはやBENTは王道に入ってきたと思いますね」
SIMPLY

スイス発祥で3年目を迎えるブランド「SIMPLY」は、日本に入ってきたのは’24ー25シーズンから。’25ー26季は3モデルでの展開となり、一番メインとなるのは「レクリエーション」だ。
センター100㎜のオールラウンドモデル。左右非対称のフィッシュテールという独特のシェイプが特徴で、ひと際目を引く。一見タフそうだが、意外と柔らかい。テールまでフレックスがしっかり使えるため、どんな地形でも軽く楽しめるのが魅力。見た目のカッコ良さ、目新しさもあいまってか、今回の試乗会でも大人気。次から次へと試乗したいというユーザーが途切れない。サイズバリエーションも豊富に用意されたが、性別・年齢問わず乗られていたのが印象的だった。
RMU

RMUのスタッフに話を聴いたところ、
「今回、とくに人気だったのは『Professor』 の101 と111ですね。全体に100~111 のオールラウンド系モデルが定番的に人気で、よく乗られていました。RMUは、Extrem と同じ工場で生産しているので、高品質ながらリーズナブルな価格で提供できる点も魅力だと思います。デザイナーズグラフィックがお洒落だと女性にも好評でしたよ」
「Professor101」は、’25ー26季に新しく登場したモデル。(上の写真で右から4本目)そして、ユニセックスオールマウンテンスキー「VALHALLA97」「VALHALLA107」(写真右から2本)は、ピンク・薄紫色のグラフィックでアップデートされた。
EXTREM

スウェーデン発のEXTREMは、環境への配慮を大切にしながらクオリティの高いプロダクトをスウェーデンのファクトリーで造っている、通好みのこだわりブランド。’25-26季はモデルによってグラフィックチェンジがなされ、スウェーデンらしを感じさせるスタイリッシュな仕上がり。
今回よく出たモデルは「FACTORY102」。パウダーからグルーミングバーンまで汎用性の高い"完璧”なフリーライドモデルと謳われ、日本でも人気が高い。そして、EXTREMを日本で取扱うVinterのレゴラスさんが妙高に持ってくるかどうか迷ったんだけど…」というディープパウダー向けのファット「FINAL OPINION」が意外にも注目されていて、乗りたいという人が多かったという。
今後の試乗会でぜひ試してもらいたいのが「FORMURA88」とのこと。ラディウスが11.5mと、非常に強いサイドカーブが抜群の機動力を生み、グルーミングバーンでの小回りが最高に楽しいという。
WAPAN

会場でひと際華やかな存在感を放っていたのがWAPANスキーだ。ブランド誕生のときから、その名の通り「和」を意識した大胆なグラフィックで人気を集めてきたが、‘25-26季は新たに3種類のグラフィックがリリースされ、「イ」「ロ」「ハ」など、それぞれのモデルやサイズで好みのグラフィックを選択できる、WAPAN独特のスタイルだ。スキーの構造や素材は‘24-25から継続で変わらない。
グラフィックのイメージは、まず「炎(ほむら)」(上の写真で右)。不動明王の背中にある炎をイメージしたという。どこかスピリチュアルでいかにも強そう、雪上映え間違いなしだ。そして、白鷺グラフィック(炎の左隣)。蔵王ローカルの女性スノーボーダーがデザインしたグラフィックで、女性らしい柔らかい筆のタッチで、色味も優しく上品な雰囲気。そして雀グラフィック(白鷺の左隣)。北海道の道東おこぺ町でスノーボードショップを構えるデザイナーによる作品という。雀を日本の象徴として捉え、そこにデザイナーの地元のアイヌの文様を組み合わせた。
BLACKCROWS

写真のスキーヤーが手にしているモデルは’25-26季の注目の「sato」。BLACKCROWSにしては珍しく整地やリゾートを意識したモデルで、ウエストは90㎜。ゲレンデを軽快に自由にクルージングしたいリゾートスキーヤーに最適だ。今回この「sato」がよく試乗されたという。そのほか、ウエスト87㎜のカービングマシーン「mirus cor」や、ウエスト100㎜のオールマウンテンモデル「justis」も動きが活発だった。
スタッフによると、次の苗場でのドリームゲートの試乗会(3/22-23)にはフルラインナップを持参するので、ぜひほかにも「atris」や「corvus」「anima」といったフリーライドモデルも試してほしいとのこと。
ARMADA

ARMADAブースのスタッフに、今回の試乗会でのユーザーの傾向を聞いてみたところ、こんな説明をしてくれた。
「ARMADAはやっぱり『ARV』が王道ラインですね。初めてARMADAを履く人の多くはここから入るんです。ARVは毎年コスメが魅力的ですし、乗りやすさには定評があります。今回も試乗機は常に乗られていました。ただ、ZEROシリーズが出てから、そちらにも人気が集まるようになってきていると感じます。
また、『JJ』は、国内では圧倒的にずっと人気が続いています。試乗会に「JJ乗れますか?」と目指してやってくる人も多いです。今回、『White Walker』もずっと試乗されている状態です。ARMADAユーザーはがっつりフリーライドをやる人も多いんですよね。大きなキッカーやパークに入る人は、最初からWhite Walkerが好きですね。軽さもあっていろんなシチュエーションで動かしやすいからです。
あとは、『Diclivityシリーズ』。初めて太いスキーを履くとき、これまではザ・ツインチップを選ぶ人が多かったですが、最近はテールが比較的フラットで、テールの後半までエッジをしっかり使っている、オンピステでのカービングターン性能に長けたスキーを評価する人も多くなってきました。カービングターンがお洒落にできる『Declivity-X』、この試乗会でも人気でしたよ」
STEEPではこんな取り組みを実行中!

今回編集部が取材に入ったのは、ニューモデル試乗会の様子をレポートすることのほかに、大きなミッションがあった。それは、「一般ユーザーから忖度なしの率直な試乗インプレッションを集める」ことだった。それを今後、どう料理するかはまだ秘密だが、会場のユーザーたちに、スキーの性能や乗り味を評価するスコアリングや、インプレッション(感想)を書いてもらった。


編集部による、このユーザーインプレッション集めは、この次のドリームゲート主催の試乗会(3/22-23)でも続く。今度は自分も気になるニューモデルを試乗してインプレッションを提供したい!と思う人は、ぜひレポーターとして名乗りをあげてほしい。
最後に「SKI SHOP VAIL」の池田店長からメッセージ

「1日目は天気もよくてたくさんのお客様に来ていただきました。今回は、どんなタイプ・ブランドのモデルもまんべんなく動いていたな、という印象です。試乗したことで欲しい板が絞り込めたので、お店に予約に行きます!という方も多くいらっしゃいました。
今回、1日100人とした定員がすぐに超えてしまったので、枠を増やして、実際に土曜日は150名近くいらしていただきました。ただ、あまり増やし過ぎると皆さんが乗りたい板が被ってしまい、お待たせしてしまうのもよくないので、皆さんに喜んでいただけるような工夫をしていきたいですね。
ユーザーの皆さんがハッピーなギア選びができるよう、お客様にいつも寄り添ってお役に立てる、そんなお店であり続けたいと思っています。
次の苗場での試乗会にもぜひ来てください!」
ドリームゲートによる次の試乗会も間もなく開催!
3/22(土)ー23(日)@苗場スキー場
次回は、レーシング/ デモ を含むより幅広いジャンルのニューモデルが試乗できる。数多くのブランドが結集する大人気の試乗会、ぜひ足を運んでみては?

◆詳細
https://www.instagram.com/p/DGXEW5PyrYv/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
◆参加申込み
https://docs.google.com/forms/d/1nwFzCj—GZZgT_kVvxq6ae_6GVuJfYUJr6dgSHfgCd8/edit