「フリースタイルスキー・エアリアル」競技の見どころ―ミラノ・コルティナ2026オリンピック

ミラノ・コルティナオリンピックの観戦をより楽しむために、競技の特徴や見どころポイント、ルールなど、フリースタイルスキー・エアリアルの基礎知識をつけておこう。

INDEX

■エアリアル(Aerial)とは? そのおもしろさ

Photo: Mateusz Kielpinski @rudi.garmisch / @fisfreestyle

完璧さを0.1秒で求められる“究極の精密競技”

エアリアルは、急斜面の専用ジャンプ台から大きく跳び上がり、空中で複雑な回転と宙返りを行い、その完成度を競う競技だ。1994年リレハンメル大会から五輪正式種目となり、フリースタイルスキーの中でも最も「完成度」が重視される競技として知られている。

競技では、助走から踏み切り、空中動作、着地までを一連の流れとして評価する。空中では縦回転と横回転を組み合わせた高難度技が求められ、わずかな軸のズレや姿勢の乱れも見逃されない。成功か失敗かが一瞬で決まる、極めてシビアな世界だ。

Olympic Winter Games - Aerials - Livigno (ITA) - 2026. Photo: Mateusz Kielpinski @rudi.garmisch / @fisfreestyle

エアリアルの魅力は、その“完璧さ”にある。豪快に見えるジャンプの裏側では、極端なほど精密な身体操作が行われている。踏み切り角度、回転の入り、視線の使い方、着地の衝撃吸収。すべてが計算され尽くして初めて、美しいランディングが成立する。難しさは、成功率の低さにある。高難度技になればなるほど、成功する確率は下がる。それでも点数を伸ばすためには、より難しい構成に挑まなければならない。安定を取るか、勝負に出るか。その選択が常に迫られる競技だ。

観戦のポイントは、空中姿勢の「静かさ」に注目すること。回転中にブレが少なく、身体がひとつの軸で回っているジャンプは完成度が高い。また、着地で大きく流れず、ピタリと止まるかどうかも重要な見どころだ。エアリアルは、最も緊張感の高い競技と言える。

動画で実際の様子を見てみよう!

ミラノ・コルティナオリンピックならではの着目ポイント

ミラノ五輪では、エアリアルの舞台となるLivigno(リヴィーニョ)は山岳地帯の高地のため、風など天候の影響も受けやすい。雪質や気温による踏み切りの感触が結果に影響する可能性があるかもしれない。公式練習時も以下の写真のように悪天候だった…。

Olympic Winter Games - Aerials - Livigno (ITA) - 2026. Photo: Mateusz Kielpinski @rudi.garmisch / @fisfreestyle

■エアリアルの試合形式とジャッジ方式

「個人」では、予選から決勝まではこのような流れで争われる。

〈予選1〉全選手が1回ずつ飛び、上位6名が決勝1に進出する
〈予選2〉予選1の7位以下の選手が選手1回ずつ飛び、上位6名が決勝1に進出する。
このとき、予選1、予選2の高い方の得点が採用される

〈決勝1〉&〈決勝2〉予選を通過した12名が、決勝1、決勝2で1回ずつ飛び、 上位6名が決勝3に進出する。
このとき、 決勝1、決勝2の高い方の得点が採用される

〈決勝3〉勝ち抜いた6名が1回ずつ飛び、最終順位を決定する

「混合団体」の試合形式はこうだ。

〈決勝1〉各チーム(男女混合3名)の全員が1回ずつ飛び、チームの合計点で順位を決定し、上位4チームが〈決勝2〉へ進出する

〈決勝2〉各チームの全員が1回ずつ飛び、合計点で最終順位を決定する

*当日の天候などにより試合形式、順位決定形式が変更になる可能性あり

エアリアルは駆け引きのスポーツでもある。メダルを狙うには、最低でも4回飛ぶ必要があるが、ここでの駆け引きが重要になってくるのだ。現在、男子の最高難度の技は「3回転5回ひねり」。ただし、これをマスターしている選手であっても、毎回それを決めればいいというわけではない。その都度、異なる技を飛ばなければならないルールがあるからだ。つまり、最後の勝負となる決勝3に温存されることが多い。そのため、「3回転5回ひねり」に続く難度の「3回転4回ひねり」を、複数のバージョンで披露できる選手が強いのである。ただし、シチュエーションによっては、決勝2で「3回転5回ひねり」を飛ぶケースもあり得る。

*当日の天候などにより試合形式、順位決定形式が変更になる可能性あり

■ミラノ・コルティナオリンピック エアリアル競技スケジュール

開催日時種目放送予定
2/17(火) ●女子エアリアル 予選
[日本時間]2/17(火)18:45
2/17日(火)
18:40~ Tver
https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/
●男子エアリアル 予選
[日本時間]2/17(火)21:30
2/17日(火)
21:25~ Tver
https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/
2/18(水)●女子エアリアル 決勝
[日本時間]2/18(水)19:30
2/18(水)
19:25~ Tver
https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/
2/19(木)●男子エアリアル 決勝
[日本時間]2/19(木)19:30
2/19(木)
19:25~ Tver
https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/

■ミラノ・コルティナオリンピック エアリアルに出場予定の日本人選手 

[男子&女子]

name生年月日出身所属SAJの五輪推薦派遣基準を満たす実績
五十嵐 晴冬(いがらし はると)2002年12月13日北海道日本体育大学’24 FIS コンチネンタルカップ(COC) 中国大会 AE 優勝
’24/25 FIS W-CUP AE(デビューシーズン) 決勝進出(TOP6)
’25 世界選手権 代表選考対象大会 AE 上位入賞(派遣基準対象)
五十嵐 瑠奈(いがらし るな)2004年10月1日北海道日本体育大学’24 FIS コンチネンタルカップ(COC) カザフスタン大会 AE 2位
’24/25 FIS COC 総合 AE 上位(ランキング圏)
’25 FIS W-CUP AE 出場・予選突破実績あり

出場を決めた五十嵐晴冬と瑠奈は兄妹。いずれも日本エアリアル界の次世代の中核を担う存在だ。
エアリアルの勝負は「難度×完成度」。五十嵐晴冬は高回転系トリックでも着地成功率が高いのが最大の武器。五十嵐瑠奈は、女子エアリアルで重視される「ラインの美しさ」「空中姿勢」「着地のクリーンさ」が評価されている。兄弟で挑む空中の頂点、そのパフォーマンスに注目したい。

INDEX