プロが選ぶ|絶対見るべきスキームービー21選 Part_2

積雪が豊富で順調な滑り出しの21-22シーズン。モチベーションを上げるために、YouTubeで見れるオススメのスキームービー21選を紹介しよう。Part_2ではパウダー系とパーク系の映像作品を中心にピックアップ。

推薦&解説者はスキー映像マニアこと山田雄平(通称くんさん)。カメラマン、アイスランティックのライダーとして活躍する。自身が出演する映像も制作するなど、スキー映像のこだわりと探求心、視聴本数は人一倍。長年この業界に身を置いてきた彼だからこその詳しい解説にも注目。
instagram:@forgetek

パウダー系

No,15 Kai Jones: Yearbook 2021

昨秋には13歳にして老舗プロダクションTGRのムービーのオープニングを飾った逸材、カイ・ジョーンズ。今作は、今年のTGR作品「Stoke the Fire」からのシングルカットされた彼のソロパート。
ジャクソンホールとモンタナのバックカントリーで、大人のプロスキーヤーでも尻込みしてしまうラインを次々と攻略。 まったく理解できないほど、ためらいを感じない滑りだ。
上手い子供だから注目されているだけなのか、大人以上の滑りをしてパートを獲得しているのか、その目で確かめてほしい。

No,16 Arc'teryx Presents: Here Goes 

マッチスティック・プロダクションズ(以下MSP) - The Stomping Groundで使われた映像を主として再構成したサム・クッフのパート。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州の出身らしいビッグマウンテンのライン取りのスキル。そこに信じられないほど高い空中感覚が共存しているが、サムはパークが全然ない地域で育ったため、パークで熱心にトリックを練習したわけではないという。
そのかわりに体操・トランポリンをかなりのレベルでやっていたらしい。
これだけ高いスピード感でラインを繋いでくることは、本当に高い空間把握能力がなければ決してできない。実際やろうとすると先が見えなくて減速せざるを得なかったり、地形にはまり込んでしまったりしてかなり難しい。
また、完全にナチュラルのリップでダブルバックフリップをしたり、崖の手前でノーズバターを決めたりするトリックの感覚も常軌を逸している。
高いスキルの融合が彼の独特な滑りのリズムを生み出し、見る者の心を捉えて離さない。
アークテリクスのパートは、ストンピング・グラウンドの本編とはまた違った編集がなされている。私はジャンプの見せ方はMSP本編が好みだ。彼の滑りが気になったのなら、ぜひ本編もチェックしてみてほしい。またMSPの前々作、リターントゥセンダーのパートもオススメだ。
Sam Kuch Segment - Return to Send'er
https://youtu.be/-wQCWYgg9CM

No,17 EMPHASIS

フランスの若手3人組。フィルマーもフランス人のようだ。
トリックや編集の細かい所の端々に、フランス人独特の美的センスが発揮されている。
ナルトやドラゴンボールが海外で放映され、それを見て育ったファンが、音楽や映像にサンプリングやオマージュを入れてくることが当たり前になった。
また、国が違えばブランドのマーケティング方針も異なる。
国際的なスポーツアパレルのロゴがスキーの映像に出てくるだけで新鮮だ。
そんな所に注目してみるのも面白い。

No,18 P60 Vybz - Feat. Henrick Harlaut, Emil Granbom

ヴァレンティン・モレルを中心に、スウェーデンクルーで春のラークスパークを攻める。
フレッシュなスタイルにメローなヒップホップのビート。
チルしながら見るのに最適な雰囲気に仕上げてある作品だ。

No,19 ''SUPERVIEW'' A B-dog Bone

これまで長年にわたり、映像表現をリードしてきたベテランライダーたち。
巨大なパークやストリートは一般ユーザーの普段滑っているフィールドとはかけ離れたもので、どれだけすごい滑りかを想像することは難しくなっていた。
彼らの普段のスキー場での滑りは親近感があり、小さなセクションでこそスキーさばきの凄さを感じる作品だ。
撮影・編集はフィル・カサボン。彼はフランス系カナダ人で、やはりフランス系のセンスを感じる。滑りのみならず、映像でもフィルの編集だとすぐわかるほどスタイルを確立している。
Armadaからリリースされる映像は、ライダー出身者やライダー本人が、直接撮影や編集を担当することが多い。ライダー自身がかっこいいと思うものを発信する。これはこのカルチャーの成長にとってとても大切なことだ。

No,20 Candide Thovex - Some laps in Crans-Montana Park

生ける伝説ことキャンディット。近年はフリーライドのイメージが強いが、久しぶりにパークの映像をリリース。これまでのイメージを踏襲した「追い撮り」で、だ。
本当に速いスピードで流すキャンディットだが、それを追う方もかなりの実力が必要だ。
彼のシグネチャートリックと言えるほどイメージの強かった、パイプでのフレア・ブラントグラブ。長年のファンには落涙ものだ。そして最近のスタイルにアップデートされたトリックも。
年齢を感じさせない滑りの数々を、スローと多彩なアングルで存分に堪能できる。

No,21 S.W.A - FULL MOVIE

ヒップホップの名作と昔の映像に影響を受けたスキームービー。
フランスのスノーリゾート、レデューアルプがベースの二人が作っているらしい。カナダやスイスのシーンも含まれているが、キャプションや彼らのInstagramを見ても詳細はよくわからない。あまり外に情報を出さないところにZ世代っぽさを感じる。
昔、スケートボードを始めとしたアクションスポーツを撮るカメラとして定番だったSONY VX1000/VX2000。フィッシュアイを装着して、映像の四隅が黒くケラれているシーンがVXで撮られている。わざわざVXの映像を使う手法は、スケートボードなど一部で最近流行っているのだが、スキーでここまで使っている作品も珍しい。
クラシックスと呼べる過去の定番要素と、新世代の感性が組み合わさった一作だ。

Part 1はこちら

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