Jeep 「グランドチェロキー」 VS 「コマンダー」雪山行きに強い四駆、使い勝手を比べてみた

アウトドアビークルの雄、Jeepはオフロードや雪道を安定感ある乗り心地で、ぐいぐい走る四駆の代名詞的存在。Jeepのフラッグシップモデルである「グランドチェロキー」とJeepで唯一ディーゼルエンジンを有する「コマンダー」は、スキーヤー、スノーボーダーにとりわけ人気が高い。見た目の印象が似ている2台だが、実際はどんな使い勝手なのか? この2台に乗るJeepオーナーのコメントも併せて、グランドチェロキーとコマンダーを比較してみる。

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雪山に使いたいクルマの条件

雪山にスキー、スノーボードを滑りに行くのに使いたいクルマの条件を考えてみよう。

・四駆である
・車内に180㎝程度の長物(スキー・スノーボード)とギア類がストレスなく積める空間がある
・雪道に強い各種の機能を備える
・冬場の運転に嬉しい機能を搭載している
・必要なときは車中泊にも快適に対応できる

ざっとこんな条件が挙げられるのは異論のないところだろう。Jeepのなかでこれらの要素を軽々クリアするのが、Jeep伝統の走破性を誇るフラッグシップ「グランドチェロキー」と、3列シート7人乗りSUVでディーゼルエンジン採用の「コマンダー」だ。外観が似ているこの2台、実際の中身はそれぞれにどんなものなのか、使い勝手はどうなのだろう。

グランドチェロキーとコマンダーの違いって?

グランドチェロキー リミテッド

山でも街中でもスタイリッシュさが光る大型SUV。力強い走りと雪道でもしっかりグリップさせる専用機能が安心感を与える

グランドチェロキーは、本格アウトドアビークルでありながらラグジュアリーな装備、乗り心地を兼ね備えるJeepのフラッグシップモデル。2023年には生誕30周年を迎え、その進化は今もとどまることはない。Limitedの主な特徴は、車内スペースに十分ゆとりがあり、雪道走行モードも備え、雪道での走行能力に抜群な安定感があるところ。もちろん街中、高速走行も申し分がない。

主なスペックは、5名乗車、直列4気筒DOHCターボ、1995cc、8速オートマチック。全長4900mm、全幅1980mm、全高1810mmは大柄で、狭いところでの取り回しは慎重を要するが、大型SUVとしてはすこぶる運転しやすい。

ラグジュアリー感ある外装、内装は街中にもマッチし、かつ雪山やその他のアウトドアシーンでも存在感とともに独特のスタイリッシュさを醸し出す、ここがグランドチェロキーが選ばれる真骨頂ではないか。

Jeep伝統のフロントグリル
フロントパネルはモードによって変更可能。見やすく、すっきりとまとめられている
機能美にあふれる高級感あふれる室内空間
手元で様々な操作が可能なステアリングホイールスイッチ
2列目シートを倒すと186㎝の板もすっぽり収まるワイドな空間
大型SUVながらすっきりとした印象のフォルム

グランドチェロキーとコマンダーを一目で比較!

Grand Cherokee Limited
Commander Limited
グランドチェロキーリミテッド
Grand Cherokee Limited
Functions
(機能ディテール)
コマンダーリミテッド
Commander Limited
4WD駆動4WD
4900mm×1980mm×1810mm全長×全幅×全高4770mm×1860mm×1730mm
60:40分割荷室アレンジ2列目 60:40分割
3列目 50:50分割
5名乗車定員7名
レギュラー燃料軽油
燃費10.1(市街モード)14.8(郊外モード)
17.3(高速道路モード)km/ℓ
直列4気筒 DOHCターボエンジンターボチャージャー付 直列4気筒 DOHCディーゼル
1995cc排気量1956cc
ありSNOWモードあり
ありシートヒーターあり
ありハンドルヒーターあり
PHEVモデルに設定PHEVなし
上級グレードに設定エアサスなし
4色カラーバリエ―ション4色
オプションサンルーフオプション
なし3列目シートあり
パワーゲートリフトゲートハンズフリーパワー
ありフォグランプあり
10.1インチインタッチパネルモニター10.1インチ
3ナンバー3
8,300,000円(税込)価格5,970,000円(税込)
2024年2月14日現在の情報です

コマンダー リミテッド

コマンダーリミテッドは、7人乗り3列シート、ディーゼルエンジン仕様で、2022年にフルリニューアルモデルとして登場。グランドチェロキーよりひと回り小柄なつくりだ。大きな違いは、2.0ℓ DOHC直列4気筒ターボディーゼルエンジンであり、7人乗りであるということ。そして、価格はグランドチェロキーよりもかなり安価な設定がされているという点だろう。

そして、第一印象は外観のカッコよさが際立っているということ。グランドチェロキーがラグジュアリーな存在感であるなら、コマンダーは洗練されたカッコよさを感じる。Jeep伝統の7スロットフロントグリルからやや細めのLEDライトにつながる独特なデザイン、荒々しいSUVという位置づけにありながら、美しさと力強さを感じる印象なのだ。

ミニバンを欲するファミリーユーザーに向けて「たくさん乗れて、かっこいい、走りもいいSUVはどうだ」そんな感じだろうか。荷物容量も3列目を倒せば大容量のラゲッジスペース。2列目もあわせて倒すと車泊も可能なフルフラットになる。ただグランドチェロキーのように180度ではなく、やや傾斜があるのが惜しいところ。

走りも雪道、高速道路、街中、いずれもスムーズな安定走行。細かなドライビングインプレッションはクルマ専門誌に任せるが、雪山仕様としてストレスを感じないパワフルな動きで頼りになる。軽油を使うことでコストパフォーマンス的にも優秀だ。

上質な印象を放つボディのエンブレム
多彩な操作が可能なスイッチ類を搭載したステアリングホイール
2列目シートには前方に回転させて簡単に折りたためるタンブル機能、3列すべてのシートにリクライニング機能を装備
181cmの板もすっきり収納できる広々とした荷室
2列目、3列目シートを倒すとこんなに広い空間が出現
流れるようなスタイリッシュなプロポーションは大きな魅力

それぞれのオーナーインプレッション

グランドチェロキーリミテッド|Grand Cherokee Limited

グランドチェロキーオーナー歴7年 
A氏 (52歳) 

スキー歴30年以上のA氏。最近はパウダー滑走にハマり、ゲレンデからアクセスするサイドカントリーやガイドツアーにも参加。今のグランドチェロキーは2台目。年間2万㎞弱走行している。

グランドチェロキーを選択した理由

スキーと夏の登山、キャンプをやるので、荷室に余裕がある4WDとしてグラチェロを7年前に購入。今のクルマは2台目。前はアルティテュードに乗っていました。3600ccの余裕の排気量でしたが、2000ccターボエンジンの走りはスムーズかつ安定感があったので、違和感なく乗り換えました。重量税も安くなって満足しています。

インプレッション

目線の高い運転席で視界がとても広いため運転しやすく、ゆったりとしたシートはロングドライブで疲れを感じないです。高速走行でもスピード感の威圧がない安定した走りがいいですね。他のクルマに乗った時に、自分のクルマの乗り心地の良さを再認識します。エアサスのおかげか、安定感はとても高いです。

いつもは後方シートを半分倒してスキーを常時2本積んでいます。仲間と行くときはもっと積めます。3人乗車で荷物がいっぱいでも居住空間は快適。ジェットバックを使っていたこともありますが、風切り音が嫌なのと燃費の低下で、荷物は車内に収めるようにしたんです。このほうが出し入れも簡単です。

これまで雪山でスタックしたことは一度もありません。朝起きて結構な積雪でもスコップを使うことなく、前後に車を動かしたら雪の空間を作って一発で脱出してくれる。タイヤは21インチですがホイールベースが広いため、雪が詰まったことも一度もありません。

気温が下がるとエンジン始動の時、自動でシートヒーターが入ります。切り忘れると暑すぎるくらい。

シートはフルフラットになるので、車泊もストレスはないです。夏はシーズン数回使いますね。自分は身長170㎝と小柄なこともありますが、荷物を積んだ状態でも狭さは感じません。二人で快適に寝るにはちょっと工夫が必要ですが。クーラーボックスとカンテラ、自前のカーテンで車泊ライフも快適です。

燃費は高速走行なら10~9㎞ほど、街乗りは5~6㎞といまひとつですが、レギュラーガソリンなので、まぁ許容範囲かなと思います。

コマンダーリミテッド|Commander Limited

Jeep歴6年 
K氏(41歳)

スキーもスノーボードもやるというK氏。スキー歴は子供のころからで30年以上にもなる。子供とのファミリースキーにもシーズン数回出かけるが、1~2月のハイシーズンは新雪を求めて仲間と週末山行に励んでいる。年間の走行距離は約1.2万㎞。

コマンダーを選択した理由

元々中古のグランドチェロキーリミテッドに乗っていて、コマンダーの新車に買い換えました。まだ一冬しか使っていませんが、使い勝手はとてもいいです。実感するグラチェロとの違いはディーゼルエンジンだということでしょうか。以前は3600㏄の8速オートマで、重厚感ある走りでしたが、今は軽快な感じで、高速でも雪道でもストレスがありません。このガソリン高騰の時に軽油が使えるのが最も助かっています。

インプレッション

ディーゼル特有のエンジン音を指摘する人がいますが、逆に僕はあのワイルドな音が気にいっています。走りはとてもスムーズです。高速もアダプティブクルーズコントロール、アクティブ レーン マネジメント機能を使って疲れ知らず。グラチェロ同様、高い運転目線で走れるのがいいですね。

7人乗りですが、3列目は常時倒しています。これまで使ったのは2回くらいかな。

スキーや釣りに行く際は2列目もシートを半分倒して長物を車内に入れて使っています。車泊も可能と思いますが、まだ未体験です。子供を寝せたりするとき2列目シートを倒して、まっ平にならないのは残念ですが、毛布の厚みで調整しているので問題ではないです。

雪道での安心感は高いです。グラチェロもそうでしたが、車高が高く、タイヤも大きいからスタックの心配はないですね。しっかり走ってくれます。

買ってよかったのは、周囲から「かっこいい」と言われること。僕もそう思っています。販売店でグラチェロやコンパス、レネゲードと見比べてコマンダーが一番スタイリッシュに感じたので。郊外での燃費は15㎞/ℓくらいかな、街中はそれより少し落ちるかも。

結構毎週のように乗るので、燃料が軽油であることは大きいですね。重量税が以前より安くなったことも褒めたいポイントです。新車が購入できたのも、グラチェロよりもかなり安かったことが背中を押してくれました。内装はグラチェロのほうが確かに豪華だとは思うけれど、走りの性能や各種機能、全体の満足感を価格と天秤にかけるとかなりお得な感じがしています。

パウダーを求めて週末の雪山を目指す、こういったシチュエーションに当たりたい

まとめ

さて、どちらを採択するか。これはユーザーのライフスタイルや好みになるのだろうが、雪山行で使うクルマとを考えたら、走り、安定性、居住性、どちらも甲乙付け難いほど使い勝手はいい。強いて言うなら、ラグジュアリー感を重視ならグランドチェロキー、そしてJeepらしさをコストパフォーマンスよく求めるとしたらコマンダーだろう。
雪山行きのクルマ選択の候補にぜひ加えたい二台だ。


Information

Jeep公式サイト:https://www.jeep-japan.com/

公式SNS:InstagramFacebookTwitterYouTube


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