例年3月中旬に苗場で開催されている、㈱ドリームゲートによる来季のニューモデルスキー試乗会。複数のプロショップによる合同開催とあって、多彩なブランドとジャンルの試乗機種が揃うことで人気だ。今年はどのような様子だったのか、レポートしよう。
3月半ばの苗場の週末に30以上の人気ブランドが大集合

「DREAM GATES PRESENTS 24-25 NEWMODEL SKI 試乗会」は開催がスタートしてからもう10年以上。例年3月半ばの苗場スキー場に多数のブランドの登り旗が立ち、メーカーテントが広がるのは、もうすっかり春の風物詩だ。
今年も、3月16-17日の苗場会場の他、2月24-25日には白馬栂池で第1弾が開催されていた。両会場とも事前にWeb申込みが必要だったが、栂池会場は定員に対してアッという間に満員になってしまったという。苗場会場も同じ状況で、土日とも予約がいっぱいで満員御礼での開催となった。
この試乗会の特徴は、㈱ドリームゲート社が展開する、アスペン/エフジャンク/フソウ&ブーツチューン/スキーショップ ベイルと、それぞれに「こだわり」を持つプロスキーショップによる合同開催のため、 アルペン・基礎&カービング・オールマウンテン・フリースキー(パウダー・バックカントリー・ツアリング)と、バラエティなジャンルをカバーする人気ブランドの注目モデルが勢揃いすることだ。
また、苗場というアクセス至便のロケーションもよい。その上、広大なフィールドで多彩な斜面で試乗できることも魅力だろう。今シーズンは小雪の影響で、会場がいつものプリンスホテル6号館目から2号館前へと変更になった。プリンスホテルを背に一番左端のフィールドだが、端っこだったおかげで、特設された大音量のDJとBGMが会場によく響き、雰囲気がとても良かった。
どんなブランドが出展していたか
両日で商品を展開していたブランドは、おおかたこのような顔ぶれ。30以上の有名人気なスキーやアクセサリーブランドが出展していて、試乗会としては大きな規模感だ。









「試乗会はこんなことが魅力!」参加したユーザーたちの声
このような試乗会のメリットは、実は来季モデルをいち早く乗り試し! という単純なことだけではないようだ。今回、会場に来ていたゲストたちに話しを聴くと、試乗会はユーザーにとって様々な意味や魅力を持っていることがわかった。なかなか興味深いので、どんなモデルを乗り試したのかも含めて、声を紹介しよう。
(おまけ:8組の方々に話しを聴いたうち、7組がSTEEPのユーザー(読者)であった。これには嬉しくなったSTEEP編集部であった・笑)

気になった板のことをメーカーにいろいろ聞けるから、板のことがよくわかってよい
Wapanテントの前でWapanライダーと話し込んでいた二人。右の方は「パウダーもゲレンデも1本で楽しめるモデルを探しに来ました。今日は今のところWapan、LINE、blackcrowsを乗ってみましたが、なかでもWapanの黄色のグラフィックがカッコよくて惹かれます。乗り味もとてもよかったです」。
左の方は「スキーは35年くらいやっています。バックカントリーも、アルペン以外はなんでもやります。試乗したWapanの150㎝のものはパークライドにもよさそうです」。
試乗会はいろいろなモデルを乗り比べながら、気に入った板についてスタッフから詳しい話がたくさん聴けるからいい、という。Wapanはライダーがアテンドすることで一層、詳細な滑走フィーリングや板の取り回しに関する技術的な話も聴けて、「Wapanをますます気に入りました」と話していた。

昨年もこの試乗会で購入!買いたい板が見つかる
dpsを乗り試してきた、というお二人。土曜日から2日間参加で、たくさんの試乗機を試すのだそう。右の方は
「次の一台は太くて短い板を探しているんです。けれど、そんな板ってなかなかないんですね。ARMADAのSHORTPANTSが今回はなくて残念。実は、昨年もこの試乗会に来て、ATOMICのBACKLANDに決めたんですよ」とのこと。

いつもは基礎スキーに乗っているが・フリーライドスキーの良さを知った
ICELANTICテントの前の男性は実は基礎スキーヤー。
「普段は基礎をやっていて、基礎用の板に乗っています。ICELANTICに乗ってみて、すごく楽でした。ターンするのに雪質も気にならなかったです。基礎の板より全然滑りやすいですね~。フリーライドの板に本格的に乗ってみたくなりました。年齢とともに段々ラクな板のほうがよくなりますね(笑)」

いい板との出会いの場・グラフィックのアートギャラリーのよう
「STEEP観てます!」と楽しい写真を撮らせてくれたお二人。男性は「初めてICELANTICでNOMADOを乗りました。普段はGSの板に乗っているんですけどね。ICELANTICは独特の感触です、いいですね」。
女性は「私はNOMADO94とMEIDEN102を。どちらも乗りやすかったです。私は試乗会初めてなんですが、いい板に出会えて嬉しいです。グラフィックが一度にたくさん見られる!アートギャラリーみたいで楽しい! ICELANTICの黒ベースに金色の蛇のグラフィックのモデルがめちゃめちゃカッコいい!」と大興奮だった。

試乗会はメーカースタッフとの楽しみなコミュニケーション・おつきあいの場!
SWANSのテントの前で楽しそう~にスキー談義に花を咲かせていた三人。てっきり山本光学の「身内」かと思いきや、スタッフによると
「お二人とはこの苗場の試乗会で毎年お会いして、もう10年来のおつきあいなんです。今年はまだ来ないな~って待っていたところなんですよ。商品の貸出だけでなくて、お客様とのコミュニケーションの場として試乗会を大事にしていて、ここでもらったフィードバックを開発にも活かしているんです」というから驚きだ。お二人からは
「私たちSWANSの商品以外は持ってません!やっぱり日本人の顔型に合っていること、レンズの圧倒的な良さですね。この試乗会では雪上でゴーグルやヘルメットをつけて滑って試せるので、気に入ったら毎シーズン新しいものを買ってますね。苗場で毎年おしゃべりするのも楽しみで」とのこと。試乗会が商品の性能を体感するだけでなく、メーカースタッフとの交流の場になっているのだ。

試乗会は実際乗ることで最後に「買う」決断ができるからいい
東京から来たという自称フリースタイルの初心者さん。現在はK2のRECONAを愛用中、今日の試乗会ではARMADA ARV94とFACTION Prodigy1、LINE BLADEを試乗したという。
「ARV94は結構硬めな印象、Prodigy1はすごくしっかりしていて乗りやすい、BLADEずっと気になっていたんだけど、乗るまでは決められないから。すごくよく曲がってメッチャ楽しくて、欲しくなりました。試乗会は最後の買う決断ができるところがいいんですよね」。

地元なので気軽に出かけてローカル愛をかみしめる
MOMENTテントでスタッフと長々と話していたご夫妻。湯沢エリア在住のため気軽に出かけてきたという。かぐらにベースのあるブランドMOMENTの大ファン。プロショップMOMENTのお得意様でもある。地元にあるブランドはいつでも親身にサポートしてもらえるのがありがたくて、それがスキー選びのファーストチョイスになるという。
「この人、MOMENTのスキー2本も買ったのよ!」と笑う奥さん。重さが気にならない滑走性の高さがMOMENTのいい点。試乗会で他と乗り比べして、あらためて板の良さと、地元愛を感じると話していた。

フリーライドをうまくなるために普段乗れない板を試すチャンス!
スキー歴は20年以上、アライリゾートのシーズンパスを持っていて、日常的にパウダーを滑りまくっているという神奈川から来たお二人。4FRNTのテントでパウダー話で盛り上がっていたが、聞いてみたところ、今回やって来た目的は「基礎のスキーを試すこと」だという。「普段は基礎の板に乗ることもないですから、こんな機会でもないと。基礎のスキーは操作性が高い。カービングもすぐに板にパワーが伝わる感じで回しやすい。特に小回りしやすいですね! 基礎の検定も受けようと思っていて。基礎をしっかりやるとフリーライドもうまく滑れると思うからです」。
なるほど! 試乗会は、フリーライドを追求するための、ジャンル違いの板を試したり、新たなジャンルへ飛び込むキッカケづくりにもなるのだ。
主催したドリームゲートの所感は?
この試乗会の主催であるドリームゲートの現場統括マネージャーの圓山さんに、今回の試乗会の成果や感想を聞いてみた。
「2月に開催した栂池はフリースキーに特化した試乗会で大入り満員でした。苗場は基礎やアルペンも含んださらに大規模開催でしたが、16日(土)は約200名、17日(日)は約150名の方に来場いただいて、とても活気がありました。こういった大きな試乗会はスノー業界では減っている傾向なのですが、来ていただければ様々なモデルを試せる貴重な機会なので、その良さを感じていただけると思います。
今回は会場を盛り上げるためにマッスル力也さんのDJも入れて、ZOOの「Choo Choo TRAIN」など懐かしい名曲を含めて、クールな音楽をガンガン流して、ちょっと派手さも演出しました。そして、これは嬉しいサプライズでしたが、女優の梅宮アンナさんが遊びに来てくれたんです!


来場された方は、苗場会場では、全体的に基礎やカービングスキーを乗られるスキーヤーが主流ですね。感じた傾向としては、結構高額なブランドやモデルも好きな人は注目していて、実際に購入している点でしょうか。
フリーライド系のモデルでは、おそらくVAILのお客様ではRMUやFACTIONなどが人気ですね。私のいるASPENのお客様によく動いていたと見受けられたのは、FISCHERやELAN、SALOMONやATOMICなどのアルペンスキーを出しているメーカーのファットスキーですね。やはりプロショップのカラーによっても違いますね。
ユーザーの皆さんにとってもこれだけの数のブランドのプロダクトが一度に見られて、気軽に試せるという機会は貴重ではないでしょうか。毎年開催していますから、ぜひ次も遊びにきてください!」

取材協力:株式会社ドリームゲート