vol.1 が発売中!!テレマークスキーの同人誌「FREE HEEL BOOK」の編集長に話を聞いてみた

スキー場や雪山で一度は目にしたことがあるテレマークスキー。そう、あのかかとをあげて、足を前後、交互に踏み出して、歩いているような一見奇妙なスキーだ。

北欧ノルウェーのテレマーク地方の人々が、移動手段として用いていた2本の板が、スキーの原型と言われている。その地名をとって、アメリカでリバイバルし、世界へ広がったのがテレマークスキーだ。


おそらく肌感覚では日本のスキー人口の2%、100人に2人しか存在しない絶滅危惧滑走スタイルと言えるかもしれない。
そんなニッチなテレマークスキーの同人誌が、今年の2月に発刊されたをご存知だろうか。
その名も「FREE HEEL BOOK -Telemark Ski-」! 

発行人であり編集長のフリーライター森山伸也さんに、同誌について話を伺った。

「かつてテレマークスキーに特化した雑誌や記事はいっぱいありました。しかし、愛好家と道具の減少に伴い、それらの媒体は皆無に。
それでも、熱狂的なテレマーカーは日本各地に存在しています。彼ら、彼女らは、絶滅危惧種ゆえの反骨精神からか? パッションが熱く、志が高く、団結力がある。
そしてここにきて、技術をある程度習得したスキーヤーがテレマークに手を出したり、カウンターカルチャーやハイキングに興味を持った若者がはじめたいという追い風が、吹き始めています。
そんな人たちが手に取って、『ああ、面白い世界だなあ』と思える本を作りたかったんです。」

2月に発売してまもなく、長く活字に飢えていたテレマーカーたちの間で話題となり600部が国内へ旅立ったという。そうこうしているうちに、海の向こうの読者も現れた。

SNSを見たアメリカ人から『それはどこで買えるんだ?』と問い合わせが3件ありました。『全部日本語だぞ』と言っても『いいから送れ』と。外国とのお金のやりとりはよくわからないので『お金はいいから代わりにアメリカのフリーヒールスキーブックを送ってくれ』との物々交換。
いまやスマホのカメラで異国語を母国語へ一瞬で翻訳できる時代です。紙媒体のグローバルな可能性を感じています。」

発売からシーズン終わりまでは、テレマークスキーを扱う全国のスキーショップに置いてもらい、読者を増やしていった。オンラインショップを展開しなかった理由を森山さんはこう言う。

「テレマークスキーは、道具のチョイスから技術習得まで、なにかと煩わしい遊びです。それが人口減の大きな原因になっている。技術や精神を感じられるお店やコミュニティーがあった方が、すんなりと世界へ入って、長く続けられると思いました。」

しかし、編集長の森山さんが、ひとりでやりくりしている同人誌ゆえ、取扱店が少なく、買えるお店が近くになかったり、販売店へ行っても在庫がないといった問い合わせを耳にする機会が増えてきた。そこで、満を持してオンラインショップを6月中旬にオープン!

https://freeheelbook.stores.jp

「とりあえず続けて出すことが、今後の目標です。Vol.2は、絶賛脳内編集中です。」

とはにかんだ顔をする森山さん。1980年代のアメリカで、カウンターカルチャーや反戦運動、自然回帰の思想から生まれたフリーヒールという遊び。そんなの自由・独立・平和・自然保護的な匂いを帯びたスキーの世界を皆さんも覗いてみてはいかがだろう?

illustration/@kurumaskie


Information

公式Instagram:https://www.instagram.com/freeheelbook/

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