「雪山車中泊のプロに聞いた」ー③車中泊場所の探し方 編

車中泊のプロフェッショナルによるこのシリーズは公開以来大好評。春先は特に車中泊に挑戦するには最適のシーズンだ。まだまだお出かけチャンスはある。もうちょっと知識をつけておこう。続いて第3弾は、「車中泊場所の探し方」を紹介しよう。

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どこ泊まる?車中泊スポット選びのポイントは

雪山への車中泊の旅、果たしてどこに泊まったらいいだろうか。もちろん目的地にもよるが、車中泊に適した宿泊スポットを探す・選ぶ際のポイントになるのは、このような共通項があるだろう。

大前提として、その場所が車中泊可能な場所かどうか

車中泊は、車を停められる場所ならどこでもできるというわけではない。道の駅や高速道路のサービスエリアで車中泊をするという人も多いかもしれないが、場所によって車中泊への対応は異なり、完全に禁止している場所もあるのだ。

車中泊場所にしたい駐車施設で、車中泊をしていいのかどうかを調べておこう。公に車中泊がOK、または仮眠レベルならOKという場所なのか、確認しておくことが大切。例えばSA・PAや道の駅の駐車場は、休憩の延長としての仮眠程度なら黙認が多い状況。道の駅では「車中泊禁止」を明言しているところもあれば、逆に車中泊を歓迎しているところも。もちろん、RVパークを併設している道の駅なら、その箇所に正々堂々と車中泊ができる。

スキー場の駐車場についても、スキー場までの道路の除雪の問題や、駐車場でのトラブルが起こらないように車中泊自体を禁止しているスキー場もある。事前にスキー場に直接問い合わせておくと安心だ。


24時間使えるトイレがあるかどうか

就寝前も起床後も、車中泊地のそばにトイレがないのはかなり不便。車中泊場所選びの必須条件といってもいいだろう。またトイレの有無はもちろん、24時間使えるか、そのトイレがきれいかどうか、水洗かどうか、洋式か和式かも、女性や子どもと一緒に車中泊旅をするなら、チェックしておきたいポイントではないか。

Google Mapで「トイレ」と検索すると、周辺のパブリックトイレを検索することができる。試してみよう。ただし、除雪や水道凍結の問題から、冬季間はトイレを閉鎖している場所もある。行ってみたら使えなかったというのは大変なので、事前にしっかり確認しておこう!

水道があるか

車中泊で歯みがきや洗面をするのに水は必需品だ。冬の車中泊は、ほとんどがスキー場の駐車場か道の駅・公共の駐車場等になるだろう。歯磨きや洗面はトイレの水道を使うのは常識の範囲内であればOKだろう。これはありがたい。しかし、駐車場はキャンプ場ではないので、料理や皿洗いに使うのはもっての他。必要な場合は持参するのが基本だ。

日帰り温泉や飲食店が近くにあるかどうか

雪山で汗びっしょりになったり、吹雪かれて体の芯まで冷え切ってしまったりは当たり前。体を清潔に保ち、疲れた体をほぐしたりしてくれる入浴施設は、やっぱり車中泊にはあって欲しい環境だ。日帰りで利用できる温泉やスパなど入浴施設が車中泊スポットの近く、またはルート上にあると、車中泊旅の快適度と安心感はグンと増すだろう。小さな子供連れや女性も一緒の旅なら、なおさら外せないポイントだろう。

日帰り温泉施設に飲食店も併設されているところも少なくない。一つの場所で入浴と食事が済めば圧倒的に楽だ。まずは、そうした施設が近くにあるか探してみよう。

防犯面で安心できるか

車中泊でクルマには鍵がかかるといっても、それでまったく安全とは限らない。できるだけ人の手によって管理された敷地内で、夜間トイレに向かう時もある程度灯りがあるなど、防犯の面から見ても安心な場所に泊まったほうが安心だろう。

駐車場所が平坦か・騒々しい場所でないか

クルマを停める場所に傾斜が少しでもあると、意外なほど違和感を覚える。地面と平行でない状態で長時間過ごしたり眠ったりするのは、なんとも落ち着かないものだ。実際にクルマを停めて横になってみるとはっきりわかるが、熟睡は難しそう。それだけでなく、例えば、体がむくんだり、頭痛がしたり、体調不良を引き起こすことにもなりかねない。地面がフラットであることは快適さに直結するのだ。よって平坦な駐車スポットが望ましい。

また、周囲が騒々しいと、ゆっくり休めない。もちろん窓を閉めても大きな音は外から音は漏れ聞こえるもの。工事中の場所の傍や何等かの騒音が激しい場所はいただけない。

冬場も除雪がされているかどうか

雪山への車中泊旅、車中泊しようとする場所が冬場でも除雪されているかどうかも、チェックを怠ってはならないポイントだ。道の駅やSAならば、おそらくは問題なさそうだが、公共の駐車場やスキー場の駐車場でも、除雪されていない場合もある。これも気にしておきたいポイントだ。


冬季によく利用される車中泊場所4

①高速道路のサービスエリア(SA)

雪山に向かう際に利用する高速道路のサービスエリアは、車旅の心強い基地だ。トイレ、飲食店、休憩所もあることから便利でありがたく、車中泊場所として利用する人も圧倒的に多い。私たち一家も、「北海道一周車中泊旅」等で、目的地まで長距離を走らないといけない場合、途中のサービスエリアで仮眠目的の車中泊をしたことは、何度かある。

しかし、サービスエリアはあくまでも高速道路を利用する過程で、給油したり休憩したりする、いわゆる「休憩施設」。よって数日間の車中泊はNGだ。移動の途中で夜から早朝までの仮眠のための利用ならOK、という共通認識のもとで利用されている。そこはきちんと理解しておこう。そして、ゴミの持ち込みやトイレに生活水を流したりは厳禁、迷惑をかけないようにマナーは守るべし。

サービスエリア利用のメリットと懸念点をピックアップしてみよう

[メリット]
・トイレの他にフードコートやガソリンスタンドもあり、いざという時に安心
・高速道路を降りずに車中泊できる(高速代の節約)
[懸念点]
・車の出入りが激しいのと、エンジン音でそれなりにうるさい
・ゴールデンウィークや夏休みなどは車が一杯で、駐車場に停められないことがある


②道の駅

全国に実に1,204駅( 2023年2月末時点)もある「道の駅」は、車中泊場所としてめっぽう人気が高い。

・トイレや洗面所、着替えられるスペースなど完備の上、設備がきれいで快適
・トイレは24時間使えるから安心
・売店や飲食店、自動販売機なども揃っている
・土地の食材も調達できる
・日帰り温泉を併設している施設もある
・けっこう広々とゆったりしている
・環境も静か

といった理由で、利便性がとても高く、誰でも利用しやすいという点は大きなポイント。私たちも馴染みのないエリアでは、道の駅が車中泊場所として確実のため、季節を問はず利用したことが何度かある。

しかし実はだ。本来、道の駅は、安全で快適に道路を利用するための休憩施設であり、宿泊施設ではない。よって基本的には道の駅で車中泊をすることは公には奨励されていない。ただ、あえて「歓迎」と謳っている駅もあれば、「禁止」と公示している駅もあり、車中泊対応は様々だ。総じていえば、多くの道の駅は車中泊を容認もしくは黙認してくれている気がする。

事前にネットで車中泊できるかどうか情報収収集をした上で、現地に到着したら「車中泊禁止」と書いてある看板や注意書きがないかどうか、確認しよう。

道の駅によって併設されている設備(日帰り温泉・飲食店・売店・公園・体験施設・観光インフォメーションなど)はいろいろ。また、道の駅で地元産業を紹介するようなイベントもよく開催される。事前に公式ホームページなどでいろいろ調べた上で上手に利用すると、車中泊の旅がもっと便利で快適に、楽しいものになるだろう。

◇道の駅公式ホームページ:https://www.michi-no-eki.jp/

道の駅利用のメリットと懸念点

[メリット]
・日帰り温泉や飲食店が併設されている施設だと、道の駅ですべて完結する
・車中泊しているクルマが多いので、防犯面でも安心
[懸念点]
・車中泊で人気の道の駅だと騒音が気になる


スキー場の駐車場

Location: 野沢温泉スキー場

スキー場の駐車場に前泊するという方法も、もちろんある。むしろ目的地まで到達して車中泊できるのは、朝一番のリフトやパウダーを狙うには一番理想だろう。ただし、「車中泊による前泊はご遠慮いただいております」などアナウンスしているスキー場もある。また公共トイレも24時間開放されているとは限らないし、夜間は駐車場の入口が閉まっているスキー場もある。

ちなみに東北や北海道のスキー場は、車中泊ができない夜間トイレが空いていない)ところが多い…。その場合は、スキー場近くの道の駅を利用することになるだろう。

スキー場の駐車場での車中泊は、事前に入念に調べておくとよい。ぜひ、スキー場に事前問合せをすることをお勧めしたい。雪山遊びを愛するスキーヤー・スノーボーダーとして、しっかりとスキー場のルールやマナーを守って利用しよう。

スキー場の駐車場利用のメリットと懸念点

[メリット]
・なんといっても目が覚めたらすぐに山に上がれる。パウダー一番乗り!
・すでに目的地に到着している安心感、気持ちがラク
・たっぷり睡眠をとり、エネルギー満タンのまま山に上がれる
・日帰り温泉やトイレなど、時間帯によってはスキー場の施設も利用できる
[懸念点]
・車中泊を許可されている駐車場ばかりではない
・早朝に駐車場の除雪を行うので、車を移動するなど協力が必要


④公共駐車場

湖のほとりにある公共駐車場

お目当ての雪山の近くや、アクセス途中の観光地に設置されている公共駐車場を利用する方法もある。サービスエリアや道の駅に比べると、温泉や飲食店はまずない、トイレ設備も十分に整っていないところも多いが、逆にトイレさえあれば車中泊は可能だ。ただし、公共駐車場はいろいろな人が利用するため、周りに迷惑をかけないように。車中泊するのなら、夜は遅めに到着し、朝はなるべく早めに目的地に向かって出発するといった配慮が必要だろう。

公共の駐車場のメリットと懸念点

[メリット]
・基本、駐車場そのもの公共スペースなので安心感あり
・連泊も可能
[懸念点]
・トイレや水道がない駐車場もある
・除雪がされていないことも多い


今回のまとめ

シリーズ第3弾は「車中泊場所の探し方」について紹介してきたが、おさらいすると、車中泊スポットを探す・選ぶ際にポイントになるのは…

・その場所が車中泊可能な場所かどうか
・24時間使えるトイレがあるかどうか
・水道があるか
・日帰り温泉や飲食店が近くにあるかどうか
・防犯面で安心できるか
・駐車場所が平坦か・騒々しい場所でないか 
・冬場も除雪がされているかどうか     など

上記のポイントを複数押さえ、雪山車中泊の旅でよく利用されるのは…

①高速道路のサービスエリア(SA)
②道の駅
③スキー場の駐車場
④公共の駐車場

といったところだ。’22-23シーズンは融雪が早いが、まだまだ5月のGWまで滑走できるスキー場はたくさんある。バックカントリーエリアは残雪も十分、といった話も聞く。春山への車中泊、ぜひチャレンジしてみては?

Location:野沢温泉スキー場

次回の第4弾は「STEEPユーザーに人気のスキー場の周辺で車中泊ができるスポット」をお届けする予定!


教えてくれる人

とうちゃんはテンネンパーマ一家

年間40~50日間をハイエースで全国津々浦々、海から雪山まで車中泊旅をしながら、サーフィンやスキー&スノーボードを楽しむ4人家族。サーファーとして「いい波の近くにいたい」という思いから車中泊を始め、車中泊歴20年以上。2016~2019年には家族で車中泊日本一周も制覇している。2019年の冬からは新潟県湯沢町での二拠点生活(デュアルライフ)をスタート。自由な生き方と車中泊の魅力をSNSで発信するYou tuber、インフルエンサーだ。

https://www.instagram.com/tennenperm_daddy/
https://www.youtube.com/user/masatoikebe

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