2022年2月28日-29日の2日間にかけて開催された「北海道パウダーライナー Hokkaido Powder Liner」。これはさっぽろグローバルスポーツコミッションが実施する事業の一環で、札幌市・定山渓の温泉宿をベースにして札幌国際やテイネ、少し足を延ばしてニセコなどのスキー場を滑るモニターツアーだ。そのツアーをガイドしたのは佐々木大輔。北海道をはじめ国内外のさまざまな場所を案内してきた彼に、ツアーを経て、改めて定山渓温泉を基点にしたスキートリップの可能性や魅力、ガイドの有効性を語ってもらった。
ーー2日間のツアーはいかがでしたか?
「定山渓温泉に泊まって周辺エリアを滑ったんですけど、周りにも温泉宿が集まっていて温泉地に来たなっていう感じがあり、リラックスできるのがいいですね。 ここからは札幌国際、キロロがあり、ちょっと遠いけどテイネ、そこと同じぐらいの距離感にあるルスツやニセコと、選択肢がいくつもあります。この2日間は見事にいい雪を当てられたので、定山渓温泉はベースとしての可能性があると思いますね」
ーーキロロ、ニセコ。どちらもパウダーでしたね。
「ニセコとルスツは距離的には近いけれども、若干天気が違ったり、もちろんキロロとの天気も違ってくる。スキーを楽しくするには、雪が積もってることも大事だけども、天気も重要。 雪がいいだけじゃなくて、晴れている時に滑りたいし、風が強い予報が出ていれば風がより弱い方を選ぶなど、いまならいろいろな情報を集めて、行き先を決めることができます。 そういうところを勘案して決めるのは難しいけれど、それもスキーやスノーボードの面白さでもあると思います。ベースを作ってそこに泊まり、いいところを探す楽しみ方もただ滑るだけじゃない面白さがあるかもしれないですね」
ーー定山渓温泉をベースにするメリットはズバリどんなところでしょう?
「ニセコ、ルスツ、キロロ、札幌国際、テイネ、定山渓温泉を中心に日帰りで行けるスキー場はどこもバラエティーがありますよね。それに、それぞれスキー場をベースにしながらリフトアクセスでバックカントリーを滑れる、効率よくたくさんいい斜面が滑れる。 なおかつ、このエリアはどこも海に近いので、雪がコンスタントに降ります。雪がたくさんあることは一番いい材料になります。 そういった部分で世界的に見ても、いい雪が降るのは、定山渓温泉を中心にしたこのエリアの最大の特徴だと思うので、そこが一番のポイントかなと思います。
その時々のエリアのコンディションはバラバラだけれども、定山渓温泉に拠点におけば、選択肢がたくさんあるのはすごく大きなアドバンテージです。 データもあれば、人からの情報もあります。人からの情報は僕らはガイド同士のネットワークをもっているのが強い。そういったことを十分に活かして情報を集めて、その日どこがいいだろうと選べます。ただ雪の多さだけではなく、雪の積もり方や当日の風の強さ、太陽の出方、あとはお客さんの足並みも考えて選びます。そういうのがうまくマッチしたときは、予想以上の楽しさがあります。我々もそういうお客さんに笑顔になってもらえると本当にまた次の活力になります」
ーー地の利がないと、そういった場所を選ぶ難しさがあります。
「そうですね。良い場所にいても選択するのが一番難しいところ。なので、札幌周辺の滑る斜面をよく知っていって、なおかついい雪を当てられる人に助けてもらうと、貴重な旅の時間を精度が高い良い時間にできると思います。自分たちで探して行くのはそれも一つの楽しみではあるんだけれども、効率的にいい雪やいい天気を当てて、いい体験をしたいんであれば、ガイドを使うのはいいチョイスと思います」
ーー広域から選ぶこととフィールドで頼りになるのがガイドということですね。
「我々ガイドはスキーヤーやスノーボーダーに、ラクをして楽しめるように、日々トレーニングを重ねて、いい案内ができるようにしています。バックカントリーでのガイディングはもちろん、スキー場の横からゲートですぐ出られる場所にも、細かく予測しにくい地形が多くあります。例えば、踏み抜いて川に落ちたりしたら、一般の人は脱出するのに相当大変だと思います。そうした状況に陥ってもガイドなら、ロープを出して滑り手をすぐに引き上げれますし、怪我をしたとしても、安全なところへ運ぶといったトレーニングを積んでいます。 安心感を与えることがガイドとして貢献できるのは一つのポイントと思うし、そこにプラスして、効率よくいいところへ案内できるノウハウもあります。安心と安全に加えて、楽しむ、という部分をカバーする意味ではいい選択肢になると思います。
それから、良い雪を滑ることにフォーカスしますが、そこに加えるなら札幌、北海道ならではの食も良いですよね。定山渓温泉ならゆっくり休めて、次の日に楽しいスキーもできる。さらにいい温泉があるから言うことなしだと思います」
今回の2日間は偶然コンディションが当たったとも言えないこともないけども、やっぱり想像以上に状況が良くて。なによりもお客さんが笑顔でいてくれたのが本当に良かったと思うんですよ。このツアーにはそれだけの可能性があるなって思いました。 また、そこには導ける人間もやっぱり不可欠なのかなっていうのは、自分がやっていてなんだけれども(笑)。やはりノウハウのあるガイドをぜひ利用してもらいたいと思います」
Photo/Tsutomu Nakata
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教えてくれた人
佐々木大輔 Daisuke Sasaki
札幌生まれ。山岳ガイド見習いから海外エクストリーム大会などを転戦。世界各地の名峰をスキー滑走、数々の記録を残す。現在は国際山岳ガイドとして、2010年より「ガイド盤渓」を主宰し、国内外を問わずバックカントリーサービスを提供している。
今シーズンも開催!佐々木大輔と定山渓でパウダーハント、モニターツアー参加者募集
定山渓温泉に宿泊しながら、札幌国際やニセコ、ルスツやキロロなどで、当日のコンディションで滑るゲレンデをセレクトするツアーの募集が今年も開始。このツアーのガイドは昨シーズン同様、国際山岳ガイドの佐々木大輔が務める。
こちらのツアーは「定山渓温泉ステイモニターツアー」と題し、
・BCまたはサイドカントリー経験者、もしくはBCやサイドカントリーで他人の助けの必要がなく、行動・滑降が可能な方
・旅行終了後にアンケートにお答えいただける方
が参加条件となっている。
出発日は1月13日・2月17日で、2泊3日の場合は66,000円から、3泊4日は88,000円から(2名1室利用)。
各コースともに定員に達し次第募集終了となるので、気になる方は要チェックだ。