「ZONE FWT」―FWTが認めた世界レベルのフリーライドコース12~どう攻める?

Photo:FREERIDE WORLD TOUR JAPAN

「ZONE FWT」とは、FWT(Free ride World Tour)という世界的なフリーライドコンペティションの舞台としてふさわしいスペックを持つ斜面で、FWTによって選定・認定されたスペシャルなコースだ。背景にあるその狙いと、現在、日本国内にある12箇所のZONE FWを紹介しよう。

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「ZONE FWT」とは?

FWT(Free ride World Tour)は、パウダーの深さや地形変化が豊かなフェイスを舞台に繰り広げられるフリーライドのコンペティション。世界の最高峰に位置づけられるフリーライドの権威ある大会といっていい。アスリートたちは、自身の滑走技術やスタイルの個性を最大限に発揮する滑走ラインを選び、そのパフォーマンスを複数の審査員が評価する。

FWTによってリリースされた「ZONE FWT」とは、この世界的な表現舞台としてふさわしいスペックを持つ斜面を選定し、FWTが認定したものだ。今回、「ZONE FWT」に厳選されたのは全国の12 のスキー場。どこも名だたる名コース揃いだが、では、一体その選定基準はどのようなものだろう?

ZONE FWTの認定を得るための基準

FWT運営事務局によると、現時点では認定コースとなるための明確な審査項目が設定されているわけではない。最大斜度がおよそ30度以上の急斜面であり、自然の地形がよく出ていること、が判断の指標となり、認定される。

ZONE FWTを設定する狙い

FWTは、自身がアスリートとして競技に挑戦することも、また、エキサイティングなイベントをギャラリーとして観戦することも、どちらも実に魅力的だ。このFWTというフリーライドの世界大会をもっとたくさんの人に知ってもらうためにも、そして競技人口を増やすためにも、この「ZONE FWT」は絶好の入り口となるだろう。

しっかりと安全管理されたスキー場内のZONE FWTでは、安心して難斜面にチャレンジできる。そして、お墨付きのコースでは、フリーライドの面白さを存分に味わえるはず。何度も繰り返し滑るうち、またいろいろなスキー場の認定コースを滑ることで、滑走スキルを磨き、判断力や表現力を養っていくことができる。その先には、FWTなどのコンペティションや、バックカントリーの世界が広がっている。

今シーズンは、このZONE FWTを片っ端から滑っていく、なんてのもいいかもしれない。ワクワクするようなスティープ‘&ディープなパウダーフェイスや、地形遊びに夢中になってしまいそうなフェイス。全国12のZONE FWTを紹介しよう。

選ばれた12コースはこのスキー場に

01 カムイスキーリンクス|北海道

ディープパウダーコース

全長/最大斜度:800m / 32°

第5ペアリフト横のゲートから入ることができる期間限定の林間深雪スポット。最大斜度は32°だが、平均しても23~25°と全体的に急斜面。その名の通り、すばらしい「極上パウダースノー」が急斜面にたっぷりとディープに溜まっている。開けた場所やジャンプできるような地形もある。ここでしか味わえないSteep&Deepなツリーライディングを通じて、カムイのワイルドな自然の魅力を実感できる場所。

◆公式サイト:https://www.kamui-skilinks.com/


02 キロロスノーワールド|北海道

朝里第2ーC

全長/最大斜度:1100m / 37°

標高1,180mの朝里山トップから滑降する、なんと1km以上もの非圧雪のロングコース。おまけに最大斜度は37度もあり、キロロ最高。フリーライド派にとってはキロロのゲレンデ内で、まず押さえたい人気トップの名物コース。日本を代表する高難度コースといっても遜色なし。ボトムからキロロゴンドラ1本でアプローチした後は、朝里第2リフトでクルクル回せるので効率もよい。

◆公式サイト:https://www.kiroro.co.jp/ja/


03 夏油高原スキー場|岩手県

RABBIT

全長/最大斜度:255m / 33°

山頂から少し滑り降りた場所にあるツリーランエリア。日本有数のツリーランの楽園ともいえる夏油高原のツリーランの魅力をコンパクトに楽しめる場所。滑走距離は255mと短めだが、最大斜度33°のうえ、平均しても21°とフェイス全体が程よい急斜面。そこに豊かな地形変化があり、カッコイイ見映えのするブナの老木もありと、フリーライドの「魅せる」パフォーマンスの舞台として絶好。

◆公式サイト:https://www.getokogen.com/winter/index.html


04 マウンテンフィールド宮城蔵王すみかわ|宮城県

あとみBコース

全長/最大斜度:700m / 35°

旧シングルリフトの線架下エリアで、地形起伏に富んだ自然がそのまま残されたナチュラルコース。最大斜度35°と急斜面のうえ、途中には多少のバンプ凸やカーブがあるスポットもあり、スピード調整やライン取りの工夫が試される。コースの斜面は北西~北向きで太陽光の影響を受けにくいため、雪質が保たれやすい。第3リフトから多少のハイクが必要だが、滑走技術を磨きたい人や、急斜面でのダイナミックな滑りを楽しみたい人にとっては実に魅力的だ。

◆公式サイト:http://www.zao-sumikawa.jp/


05 ホワイトワールド尾瀬岩鞍|群馬県

エキスパートコース(上部)

全長/最大斜度 250m/40°

最大斜度はなんと40°だが、さらなる驚きは平均斜度も40°であることだ。250mのフェイスがまるごと超スティープとは、ここにパウダーが降り積もったらと想像するだけでゾクゾクする。国内有数のエクストリームな斜面は、コース幅150mとワイドで、遮るものがないため、縦横無尽のクリエイティブなライン取りができる。地形のうねりも少なく、スピードに慣れる練習もでき、フリーライドの技術を磨くのにうってつけのテクニカルな斜面。

◆公式サイト:https://www.oze-iwakura.co.jp/ski/


06 オグナほたかスキー場|群馬県

トレーニングコース

全長/最大斜度:400m / 30°

‘24-25シーズンから新設の非圧雪コース。オグナほたかは標高が高めのため、十分な積雪が期待できる。最大斜度30°と急斜面で、地形の変化が少なく、滑走ラインが読みやすいため、技術的な課題に集中できる。北向きで、日中の太陽光の影響を受けにくいため、雪質も比較的安定している。その名の通りトレーニングにもってこいのコース。リフトアクセスに優れるため、効率よい練習が可能だ。

◆公式サイト:https://k-hotaka.jp/ogna/


07 アライスノーリゾート|新潟県

マムシ

全長/最大斜度:720m / 30°

起伏や地形に富んだバリエーション豊富なアライのなかでも、マムシがひっくり返る程の険しい地形から「マムシガエシ」という名がついたという。急斜面から、大きなナチュラルパイプのような地形、ツリーランも同時に楽しめる、ワイルドなアライならではのホットスポット。小毛無リフト1本でアプローチできて便利さも抜群だ。地形の見極め方、ライン取り、即時の判断と対応など、フリーライドに求められる力を磨くのに絶好だ。

◆公式サイト:https://www.lottehotel.com/arai-resort/ja/ski-webzine.html


08 舞子スノーリゾート|新潟県

チャンピオンコース

全長/最大斜度:170m / 32°

舞子エリアの山頂部にある、急斜面とツリーランを併せ持つ、気象条件付きの非圧雪コース。距離は170mと短いが、平均斜度が30°の急斜面は、舞子で最難関だ。地形変化もしっかりとある。FWTの前哨戦、FWTQの採用コースでもあるため、コンペティションをイメージしながら本気で集中的に練習したい人にうってつけの斜面。

◆公式サイト:https://www.maiko-resort.com/winter/


09 湯沢中里スノーリゾート|新潟県

チャレンジバーン

全長/最大斜度:370m / 32°

スキー場きっての急斜面。非圧雪なので、雪が降った翌朝はSteep&Deepなパウダーライディングが楽しめる。中里スキーセンターの目の前という注目度も最高な絶好のロケーション。ボコボコとした起伏や地形にうねりがあり、今季からナチュラルヒットアイテムも登場した。ウッドレールやパウダージャンプにもチャレンジできるコースとなっている。

◆公式サイト:https://www.yuzawa-nakazato.com/winter/


10 御嶽スキー場|長野県

チャンピオンゲレンデ

全長/最大斜度:1500m / 30°

ベースエリアから下方に独立して展開するチャンピオンゲレンデは、以前に一度閉鎖され、再び復活。現在はリフトが稼働していないためバスの送迎がある。実に全長1500mとロングで、かつ最大斜度30°の急斜面を持つため、体力と技術が試される。緩急が組み合わさったレイアウトで、地形の変化が刺激的。ターンの自由度も高く、上から下までさまざまなパフォーマンスができるため、表現力を磨くのにもよい。

◆公式サイト:https://ontakeskijo.com/


11 ハチ・ハチ北スキー場|兵庫県

FWT ZONE NATURE

全長/最大斜度:300m / 35°

FWTの名を冠するように、自然地形を活かしたフリーライド志向の滑りを意識したゾーンは、新雪が降った日のみオープンするパウダーエリア。途中にこぶや小さなドロップ、うねりや斜面の傾きが変化するスポットが散在するため、ライン取りを考える楽しみがある。同時に判断力を養うことにもつながる。兵庫県のスキー場としては降雪量が比較的安定しているが、積雪状況や雪質の変化が激しいこともある。滑りに行く前に現地のコンディションを確認していくとよい。

◆公式サイト:https://www.hachi-hachikita.co.jp/hachikita/index.html


12 恐羅漢スノーパーク|広島県

砥石郷コース

全長/最大斜度:600m / 38°

恐羅漢スノーパークは標高が1,346mと高いため、中国地方では良質な雪に恵まれることが多く、天然雪のスキー場。全長600mの中に最大斜度38°の急斜面があり、コースの途中からは片斜面になっていて、さらに難易度が高まる。広島エリアでは急斜面の筆頭で、スキー場も初中級者お断りと謳っている名物コースだ。滑走中にスリルを感じながらターン技術とスピードコントロール力を磨くのに最適。トップシーズンや寒波到来時を狙って訪れるのが得策だろう。

◆公式サイト:https://osorakan.co.jp/winter/

■Information

Freeride World Tour

公式サイト:https://freerideworldtour.jp/zone/
公式SNS:InstagramFacebookX

写真提供:FREERIDE WORLD TOUR JAPAN


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