ハイシーズンに突入し、来季のニューモデルをお披露目する試乗会が次々と各地で開かれている。K2、LINE、VÖLKLやDALBELLO、BCAなどを扱うEOCジャパンが、いち早くディーラー向けの試乗会を2025年1月7~9日に北海道ニセコモイワスキー場で開催した。その様子を、新製品のダイジェスト情報とともにレポートしよう。
気になる! ‘25-26ニューモデル

フリースキーシーンにおいて圧倒的な存在感を放ち、MINDBENDERやDISRUPTIONなどヒットを続出させているK2や、ストリートシーンを席巻するだけでなく軽量なモデルも充実してきたLINE、フリーライドコンペシーンで実績を上げているVÖLKL、そしてブーツ王国イタリアの技術力が光るDALBELLOブーツなど、人気スキーブランドの’25-26ニューモデルが、大雪続きのトップシーズン、1月上旬の二セコモイワに集まった。
来季、ショップで展開する商品の買い付けのために、新製品の情報を入手したり、雪上での品定めをしたい。というショップに向けた試乗会は、一般ユーザーにとって気になるネタがいっぱいだ。とくに噂が広がっていた「デュアルBOAブーツ」はじめ、‘25-26季に新しく登場したアイテムはあるか? 気になるアイテムをピックアップしていこう。
K2 BOOTS
デュアルBOA「CORTEX ZONAL BOA」見参!

BOA®フィットシステムをどのブランドよりも積極的に採用し、数多くのモデルを展開してきたK2が’25-26季に向けて発表したのが「CORTEX ZONAL BOA」だ。BOA®フィットシステムが2つ搭載されたデュアルBOAの登場だ。
BOA搭載ブーツとしては、もちろんトップに君臨するモデル。フレックスも最高で140とかなりタフなつくりで、エキスパートに向けた印象だが、その特徴やいかに?
デュアルBOAには、もうバックルはない。
その仕組みは想像にたやすいが、ロアシェルの足の甲を中心とした下の部分と、アッパーシェルのすねから上の部分それぞれに、2本のワイヤーで包み込み、2つのダイヤルでフィット感を調整する。
デュアルBOAシステムの特徴と魅力は、ロアシェルに一つ採用されているタイプよりも足全体を均等に包み込み、圧迫感を軽減、足とブーツの一体感が高まり、安定性や操作の精度が向上したことだろう。また、2つのBOAによりフィット感を細かく調整できる点にある。

この試乗会で、実際に試し履きしたK2 Bootsを愛用するプロスキーヤー坂本豪大は、このようにコメントした。ぜひ動画を見てみよう。
「CORTEX 140 ZONAL BOA」はフレックス140と、硬さや構造、ホールドの強さから、アルペンレーサー御用達のレーシングブーツのような仕上がり、という声もあるが、タケの「本気のスキーヤーに使ってほしい」というコメントが印象的だ。
また、同時にウィメンズモデルも展開される。「CORTEX 125 ZONAL BOA W」について、その特徴や魅力をK2チームの伊澤麗華が語ってくれた。
K2 SKI
大幅にラインナップを変更 「BLUR」シリーズがデビュー

‘25-26季には、ゲレンデモデルがラインナップを大幅に変更する。
DISRUPTIONシリーズの一部が変更となり、後継モデルとして新たに「BLUR」シリーズとして7モデルが展開される。BLURは、ゲレンデでカービングを楽しむためのモデル。トップモデルはXTでユニセックス、ウエスト幅74・76・79mmはメンズ・ウィメンズそれぞれに展開する。
カービングの名機DISRUPTIONの優れた性能を継承しつつ、3つのテクノロジーを搭載。女性モデルは、ビンディングの下の部分のウッドに縦に溝を入れることで軽量化を図り、爽快なターンを可能にしている。74、76、79、XTには亜麻でできたフラックスという素材を使用し、レスポンス性・汎発性を高めて扱いやすい仕上がりとなっている。また、XTはしっかりとメタルが入っていることで高い追従性・コントロール性を実現している。
LINE SKI
’25-26季のデザインコンセプトは「パーソナルスペース」

ブランド創立時より、独特のメッセージ性の高いグラフィック展開してきたLINE。‘25-26季は「パーソナルスペース」というデザインコンセプトを発表。子どもの頃、自分の部屋を、好きなおもちゃを飾ったり、ポスターをペタペタと壁に貼って、自分だけのお気に入りの空間にしていた…。そんな子ども時代の「大好き」マインドをグラフィックに落とし込んだ。ちなみにSAKANAのテーマは「宇宙」。子どもの頃、星を眺めるのが好きだった天体少年は多いだろう。
BLENDにテイラーのシグネチャーモデル!
LINEインターナショナルライダーであり、世界のフリースタイルコンペシーンを席巻しているテイラー・ブルック・ルンドクイストのシグネチャー「TBL BLEND」が登場。 グラフィックはアメリカのカントリー風で雪上での映えは抜群。全体的にフレックスが柔らかめのBLENDだが、TBLはバタートリックなどしやすいように、さらにフレックスが柔らかく仕上がっている。また、今回、LINEスキーのCHRONICに採用しているトップとテールを薄くしたthin tipテクノロジーを採用したことで、スイングウェイトが軽くなり、とても乗りやすくなっている。

LINE JAPANチームの高橋しほりも、今回の試乗会に参加していた。‘24-25シーズン、USAフリースキーフィルムメーカーLEVEL1主催のストリートスキーの映像コンテスト「SuperUnknown」で、なんと日本人初の優勝に輝いた、今もっとも勢いのあるライダーだ。ずっとテイラーに憧れていたという高橋しほり、TBLについてこんなふうに教えてくれた。
そして、LINEチームライダーであり、山形のスキープロショップ「TRUNKBASE」のオーナーである丹野幹也も、今回の試乗会で初見となった各種のニューモデルをテストしていた。そのなかで「とても気に入った1本」があったという。目利きのショップオーナーのレコメンドは?
DALBELLO
BOAを2カ所に搭載したデュアルBOAブーツを発表

DALBELLOもK2同様に、‘25-26季2つのBOAシステムを搭載したブーツを発表した。DALBELLOのBOAシリーズは「VELOCE SPACE(ベローチェ スペース)」。スペースという名の通り、足入れしたときにはゆったりしたフィーリングで心地良く、BOAによって程よい締まり具合を調整し、快適ながら高いパフォーマンスを実現する仕上がりだ。実は「コンフォートモデル」としての位置づけという点では、K2のデュアルBOAとは大きく異なっている。
DALBELLOはロアシェルの合わせ部分が通常のバックルタイプよりも高くつくられていて、指をかけて開きながらスライドインできるので、足入れがとてもしやすい。インナーもメモリーフィットで背後の部分も足を入れたとたん、足に沿うようにフィットする。気持ちよく履ける工夫が随所になされていて、さすがコンフォートモデルだ。
シェルが2色になっている理由は、合わせ重なる部分は柔らかめの素材、滑走時にパワーを伝える部分にはハードな素材を使用し、異なる2つの素材の性能が発揮されるよう、うまく組み合わせ形成している。これは実はブーツ王国イタリアの老舗ブランドダルベロのお家芸ともいえる技術力による得意技なのだ。
もちろんグリップウォーク対応なので、歩くときも快適だ。EOCジャパンDALBELLOプダクトの浅野さんが説明してくれた。
VÖLKL
REVOLTに待望のウエスト幅101㎜が登場!

アルペンレースシーンでも圧倒的な存在感・強さを誇るVolkl。アルペン・基礎系のカテゴリーにおいて’25-26季に打ち出された新しい方向性が「低重心」だ。
REVOLTには、よりパウダー寄りの柔らかい乗り味のモデルと、張りが強くてハイスピードでパワフルな滑りをするための2タイプある。ハイスピード系のもので、‘25-26季に初めて101㎜が登場したのだ。これまでは、ウエスト幅121・114・104・96㎜というラインナップで、104の下は96㎜と結構が空いていた。多くのユーザーが一番欲しがる太さ100㎜という長さなかったのだ。そこに待望のリリースとなったREVOLT101㎜、モデルのコンセプトは「For everybody for everyday」すべての人へ。シーズンの最初から終わりまでずっと使えて、いつでも楽しめるという。
この101㎜のリリースはプロショップにとっても朗報。ユーザー期待に応える来季のイチオシモデルになりそうな予感だ。試乗会に参加していた北海道のプロショップ「パドルクラブ」のKJこと加藤さんは「これ気になって、ぜひ乗りたくて」と早速に試乗。
このKJ、日本で誰よりも多くのフリーライドスキーを乗り比べしている剛腕ディーラーとして有名だ。突出した滑走技術と豊富な知識に基づいた的確かつ詳細なインプレッションをパドルクラブのYou tubeチャンネルでも公開し、注目を集めている。さて、このKJによるREVOLT 101のインプレッションはいかに?
それぞれのブランドの詳しい’25-26季のラインナップとアップデート情報は、また別途お届けしよう。
EOC試乗会のスペシャルコンテンツ
その① 玉井太朗氏による「TTブーツを語ろう会」

1990年代後半から日本のスノーボードシーンを牽引してきたレジェンド玉井太朗氏が、K2とともに理想のブーツを追求して開発を重ねてきた「TTブーツ」。大自然のなかで「どこまでも自由でパワフルな、サーフライドなライディング」を叶えるブーツは、独自のインナー設計と剛性の絶妙なバランスが持ち味で、コアなファンを中心に強く支持されている。
今回の試乗会で、‘25-26季の最新モデルとTTブーツの特設Webサイトオープンのお披露目が行われた。会場では玉井氏のブーツ創りのこだわりや開発エピソードなどが語られ、参加者たちは引きこまれていたが、特設サイトではより詳しいディープな話が展開されているという。
このTTブーツのラップインナーをタケ(坂本豪大)が絶賛。どんなインナー・ブーツなのか? ぜひコチラの特設サイトをチェックしてみよう。
その② ニセコモイワBC体験ツアー

例年、この試乗会では特別なコンテンツが用意されている。K2 SKIチームのプロガイド堀江淳や五十嵐和哉のエスコートによるニセコモイワのバックカントリー体験ツアーだ。ショップのディーラーさんらが、パウダー滑走に適したモデルやツアーモデルを、実際にバックカントリーで乗り試しできる、という貴重な機会だ。
1月上旬の北海道のトップシーズン、今年はラニーニャ現象の恩恵でシーズン初頭からドカ雪続き。試乗会の期間中もニセコらしい止むことのない降りっぷり。強風に見舞われながらも、とっぷりとフレッシュパウダーに包まれ、雪のコンディションは最高だった。

STEEP編集部スタッフも体験ツアーに参加、そのレポートもぜひご一読を。
Info
EOCジャパン株式会社
https://eoc-japan.com/