Eric Pollard ( エリック・ポラード ) インタビュー <後編>|ゼロから始めた人生のプロジェクト「Season Eqpt.」に迫る

Eric Pollard produced Season. WHY and HOW

18年間にも渡るLINEライダーとしての誉れを捨て、Eric Pollard がゼロから始めた人生のプロジェクト「Season Eqpt.」。そのWhy?(どうして)・How(どのように)に迫るインタビュー<後編>。USAオレゴン州Mt.HoodにあるSeason Eqpt. のオフィスを案内しながら、いろいろな話をしてくれたEric。これまで常にフリースキーシーンの最前線で異彩を放ってきたEric Pollardの思想や生き方をここまで深く紹介するのは、日本のフリースキー史上初めてだ。いや、世界でも初めてかもしれない。その言葉に耳を傾けてみよう。

インタビュー前編はコチラ

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もっともチャレンジングだったこと

―このSeason.プロジェクトでEricにとって最も難しかったことは?

Eric:Season.を生み出すことからたくさんのことが学べたよ。事業を起こすのが簡単なことじゃないってことはわかってた。そのなかでも、もっともチャレンジングだったことは、いくつかのことのコンビネーションだったかな。僕にとってはコミュニケーションが難しかった。

時代が変わって消費者にどう情報を発信するかが変わった。僕はオールドスクールなマガジンとかフィルムのことはわかっても、ソーシャルメディアには意外と疎いからね(笑)。

LINEには心からの感謝を表したかったこともあって、急にLINEをやめる、と言い出すのは難しかった。僕はLINEが大好きだから。

僕のLINEでのプロアスリートとしてのキャリアは終わりが近づいていたけど、新しい役割に移るところで、自分のキャンペーンとして、一年という長い時間をかけてインスタグラムでLINEに感謝を伝えてきたんだ。それは難しかったね。情報というものは勝手に一人歩きをしてしまうリスクに常にさらされているから。

―Ericらしい。思いやりとリスペクトに溢れたメッセージ、きっと伝わったと思うよ。

Eric:Season.においては僕らの信念を圧縮して、いろんなメディアを通して発信していくことも大変だった。これを今後も一貫して続けていくっていうのは、思った以上に難しいよ。

僕もAustinもそれぞれ長くライドしてきたLINE、NITROによる勢いを絶たなきゃいけなかったんだ。それで、勢いがないところから動き出す、いわゆる助走なしでスタンディングジャンプをしなきゃいけなかった。これがまた大変だったんだ。ビジネス的な観点からいけば、僕とAustinはかなり成功していて勢いもあったけど、それを止めて、もっと手前からリスタートしたわけだから。

それ以外にもブランドを設立するにあたって、僕はスキー業界の大部分の人と同じように、本当にいろいろな役割をこなす必要があった。僕はブランドの方向性とか信念とか根幹になるものを決めて、製品のビジュアルコンセプトも考えて、設計も手掛けて、グラフィックもデザインして、プロダクツの撮影もして、ウェブサイトのデザインもして、ショップのブースも作って、今年はフィルムも撮った。こんなたくさんの分野のことをこなすのは骨が折れるところもあったけど、やりがいがあったし、学べることもその分たくさんあった。

Ericのもっとも気に入っているライディングショットのセレクションから

Season. is my baby!

―ということは、Season. はEricとAustinで全部をやっているの?

Eric:ああ、ほとんどそうだね。関わってくれているのは二人。エンジニアが一人と、もう一人はその他もろもろをケアしてくれている。でもほとんど自分でやらないといけない、だからホントに「My baby」(赤ちゃん)だよSeason.は(笑)。

すごくチャレンジングで大変だけど、十分に返ってくるものがある。そして自分がやりたいと思っていたことだから。ちょっとどうなるかなって不安な部分もあったけどね。これまでみたいにライディングだけ、プロダクトデザインだけ、アートワークだけ、フィルミングだけ、みたいにそれぞれに特化して深く追求してたら自分が燃え尽きちゃうような気がしてたし、こうして全体を通して手掛けるのは新鮮で、いい変化だよ。

―何がSeason. を特別にしていると思う?

Eric:まずひとつ言えることは、僕はいろんなブランドをリスペクトしてる。いろんな人が創っているいろんなブランドがどれも好きだし、どれも大事だと思う。僕は例えばフォークだけ、ヒップホップだけ、クラシック、ロックだけ、とか聴くわけじゃなくて、いろんな音楽をちょっとずつ聴くのが好きなんだ。そんなふうにブランドは人々に大切にされていくと、もはや音楽のジャンルみたいなものになっていくんだと思う。

いろんなものの見方、違ったアプローチがあっていい。ブランドってその人の持つカルチャーからくるものだと思うから。僕はこの業界にずいぶんと長く居たからそんなふうに思うのかもね。僕らSeason. のスキーやスノーボードが、他のブランドのものとテクノロジー的に大きく異なる、特別に革新的なものだとは思わないんだ。

僕らのブランドをユニークにしているもの…。特にスキーにおいては、プロダクツは着想を得るところからすべて僕が開発してきたこと。このアイデアは25年間も持ち続けてきて、誰もそんな長く温めたアイデアをもとにプロダクツを作ったりしなかったからね。

僕のアイデアは、スキーヤーとしてLINEで長いこと開発を手掛けていくなかで得て、磨いていった。毎年コンセプトを見直して、この板のデザインは特定のコンディションに特化させすぎていないか、他の要素の利点を引き出すのを阻害していないか、板をより良くするものだったのか、そうじゃなかったのか、そのフィードバックを返してきた。

その作業のゴールはデザインのエレメントをとことん理解することだった。だから今回のスキーをデザインするときに、いかにシンプルにするか、すごく考えたんだ。これはレース用のスキー、これはフリースタイル、これはオールマウンテン、これはカービングって考えだしたら限りない。いわゆるこれってカテゴリーだよね。

こういった分類を取り払って、雪のタイプに特化したスキーを創ってみようって思った。フレッシュスノー、ハードスノー、そしてミドル、フレッシュとハードの両方ミックスしたタイプと3タイプ。それぞれのコンディションに適したスペックで、最大限のパフォーマンスを発揮できるようにデザインしよう。

何がハードスノーでの滑りを快適にするか、例えばウエスト幅は狭め、なぜならエッジ操作は精緻にできないといけない、浮力はそんなにいらないからロッカーは少なめ、ハードバーンでパフォーマンスするためにフレックスはやや硬め、といったように雪のタイプで考えたんだ。

Eric is riding on...Nexus? Forma?

このアプローチはこれまでとすごく違っていて、僕自身20年間という経験がなかったら決してできなかった。ものすごくそこから学んできたんだ。

EricがLINEでデザインしてきたスキーたち

だから今回のスキーは、研ぎ澄まされた感覚が活きたデザインになった、という点で特別なものになった。

だって僕らコンセプトやアイデアを20年もかけて発展させてきたんだから。だから一見、いかにも最初の作品みたいだけど、実際最初のスキーなんだけど、実はすごく精密に開発されてる。それぞれのスノーコンディションにカスタマイズされデザインされているんだ。このことがSeason.を特別にしているんじゃないかな。

Eric Pollard & Austin Smith, the founder of Season.Eqpt

Austin Smithという相棒

―EricのバディのAustinはEricと同じ考えの持ち主なの? Austin Smith(オースティン・スミス)ってどんな人?

Eric:Austinね、彼はすごくすごくおもしろい人間だよ。僕らたくさんの同じアイデアをシェアしている。だから一緒に働けるんだ。Austinもスノーボードメーカーの複雑すぎるプロダクトラインをずっとシンプルにできると思ってたんだ。たくさんのモデルがあると確かによく売れるけど、一つひとつのプロダクツを掘り下げていくことができない。だから僕らはより洗練されたプロダクトラインを提供したかった。

Austinとは、このまさに「less is more」(少ないほど多い)っていえるアイデアを共有しているんだ。それに加えて、彼は環境のことをとてもよく考えていて、サスティナブルであることがとても意味があり、僕らがやるべきことだって思ってる。

Austinって本当にユニークで、フィルムとかで見たままなんだ。自由でおおらかに生きてる。トラックで暮らしながら世界中を放浪し、ある日アドベンチャーレースに出たかと思うと、翌日はバックカントリーでスノーボードしてて、翌々日はリゾートでスキー、次の日はビーチでサーフィンしてる。Austinはいつも、最高の意味でリアル(本物)なんだ。割と多くの人が「自分ってこういう人間だ」って信じているものがあって、そこに自分を当てはめてる。でも彼は違う。彼は常にありのままの彼として生きてるんだ。憧れるよ。

Austin Smith in Mt.Hood, Oregon

僕がどんな人間だって?

―Ericは自分自身をどんな人間だと思う?

Eric:ああ、間違いなくいくつか言えることはあるね(笑)。意外と僕は自分の考えに対してクリティカル(厳しい)なんだよね。なるべく自分を客観的に見つめるようにしてる。アメリカじゃそういう人をコントロールフリーク(キチガイ)っていうんだけど、自分の見方が曖昧なものじゃなくて的確なものであってほしい。自分がやっていることや起きていることが正確に自分の中でコントロールできていないとすっきりしない。

だから、スキーのデザインでも完璧にコントロールしていたい。フィルミングでも編集でもコントロールされていないと落ち着かない。たくさんある自分の意見を発信し続けたいんだ。

コミュニケーションにおいて、映像でもアートでも執筆でも声でも、自分の考えや思いを正確に表現することにこだわりを持ってる。

それっていい時ばかりじゃないのはわかっているんだけど、客観的に見て自分にそういうところがあることは認めざるえないんだ(笑)。

―きっちりしていてビジネスマンとしてはいい点じゃない?(笑)

Eric:うーん、それがね、不思議なことに、ビジネスはそれほど僕をモチベートするものじゃないんだ。ビジネスは僕の人生のハイライトじゃない。

あるミュージックバンドからの好きな言葉があるんだけど、「music is a life, life is not a business.  」僕も同じさ。人生はビジネスじゃない。僕はいつでもアイデアがあるんだ。それらは発展させていけば売れる商品になり得るんだろうし、僕はそのアイデアをもとにプロダクツを開発したりマーケティングしたりするスキルセットがあるとは思う。でも、それを全部ビジネスにする気はないんだ。

僕の人生と僕に影響を与えたもの

―Ericの人生に大きな影響を与えたのは何?

Eric:うわ~難しい質問(笑)。うーん、やっぱりスキーというスポーツ、そして2番目はスノーボーディングかな。スノーボードを始めたときは「ワァオ、これってすごい。スキーとは全然違う。動きは似ててもなんか違うぞ」って衝撃的だったね。スキーとかスノーボードがあったから、家族みたいに大切な仲間にも出会えた。

そして、人物で僕の人生に一番の影響を与えているのは間違いなくワイフ(妻)だね。僕ら20年一緒に居て結婚して15年になる。彼女はプロスノーボーダーだからずっと一緒に仕事もしてきたし、一緒に成長してきた。彼女は僕の人生にとって最高のバランスなんだ。

僕はいつもエクストリームで、夢中になると極端な方向に走りがちなんだよね。そんな僕がどっしりと地に足を着けていられるように、彼女は精神的にも物理的にもバランスになってくれる。一緒に家族をつくっているしね。Isabella 9歳とNova 5歳との可愛い娘たちを持つハッピーファミリーさ。もちろん、こんな特殊な世界で自由に思うようにやってきた僕をずっと応援してくれている両親もそう。

Ericお気に入りの日本へのファミリースキーの思い出写真・長女Isabellaは今は9歳に

あとは、比べられない存在としては、なんといってもLINEを創ったJason Levinthal(ジェイソン・レヴィンソル)だね。ジェイに会わなかったら今の僕はいない。15歳でLINEのライダーになって以来、兄貴みたいにいつも一緒にクリエティブをやってきた。

僕の、うんと先ゆく尖がったアイデアをどこまでも理解しようとし、いつも全力で支えてくれたのはジェイさ。ずいぶんと面白いこともバカみたいなこともやってきた(笑)。もちろん他にもフィルマーやフォトグラファー、仲間のライダー、このスノーカルチャー、言い尽くせないね。

―そうだよね、Jasonとの出会い、元祖LINEチームがEricのルーツなんだものね。

2001年の元祖LINEチーム(右から2番目がEric)

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僕の哲学

―Ericの人生哲学はどんなもの?

僕は無宗教だから信仰とかの体系化された哲学はないかな。でも、哲学や宗教を少し勉強したことはあって、こういった地域色とか文化性の強いコンセプトから、似通ったアイデアを見い出せるってことに気づいた。そこまで限定的でない範囲では、キリスト教にある考えが仏教にも、ヒンドゥー教の考えがイスラム教にも、当てはまったりする。西洋ではユダヤ・キリスト教がほとんどの信仰のベースになってるけど、東洋での信仰とか哲学はまったく違うようでいて実は似ていたりする。

僕はこれら全部が美しいと思うと同時に、恐ろしいとも思うんだ。だって自分の解釈が正しいと思ってる人を、その解釈における事実のために闘うまでに駆り立てるんだから。僕は信仰心がすごくあるわけじゃないけど、どんな信仰だって興味深いし、大切にされるべきだと思う。

僕が自分のフィロソフィー(哲学)としてるものは、「自分たちの存在意義とは何か」「限りある時間や命をどう使うか」とかかな。

これって、よく哲学者に取り上げられているんだけれどネ(笑)。

―(笑)Ericは哲学者に負けてないよ~。本当に思想家。Ericの生き方やアートが物語ってるもの。

「As above so below」 painted by Eric Pollard

Eric:僕の父親は、僕が小さいころよくジョーゼフ・キャンベル(アメリカの神話学者)の言葉を教えてくれたんだ。

”Follow your bliss”「自分の至福を追え」って。
要は自分が今居る場所、やってることが正しいんだ、っていう感覚を追い求めろって意味なんだけど、僕はまさにその通りだと思う。

まぁ、自分が幸福な人生を歩んできたからからバイアスが入っているのは否めないけど。自分が成功してきたから、僕のこの言葉の解釈は歪んでいるかもしれない(笑)。でも、僕は父親に教わったように、そして子供たちにも教えているように、これを信じて生きてきた。

例えばキミが絵を描くのが大好きだとして、でもある日責任とか家族とか守るものが増えたとしよう。画家になって絵で稼げるかはわからないから、ちゃんとした仕事を探そうと思う。でも実際、そのもう一つの仕事でも失敗する可能性はあるんだ。

自分の生涯における夢やゴールに妥協してもっと安全だと思われる選択をしても、完全なコントロールを持ちえない以上は上手くいかない可能性はあるんだ。大好きなものを諦めるという犠牲を払って毎日熱心に働いて、今していることを嫌だと思いながらもなんとか頑張って、そうして過ごしているうちに定年が近くなってきた。そんなある日、突然解雇を告げられ退職金も渡されない。これは実際に僕の知り合いの身に起こったことなんだけど、こうなるくらいなら、大好きなことをやって失敗した方がいいじゃないか。

あと、僕らがNimbusで創った「Drawn from here」っていう、僕の視点をいろんな人の名言とかで語ってるフィルムがあるんだけど、その言葉の一つに人の存在意義を語っているのがあるんだ。変わり続けるそれを、僕はいつも探してる。

Ericの視点で物事を切り取った「Drawn from here」は数々の賞を受賞した

他にも、「War of Art」っていう本を書いた作家の言葉で、「いずれ、反発にあう」っていう意味のがあるんだ。何かしようとしたときに、自分と向き合ってみてそれをやらない理由がたくさん浮かんでくる。「これ、やめておいた方がいいかな」って。でも、やる理由だってたくさんある。だから葛藤する。でもそれって普通のことで、やりたい自分と、やめる自分のどちらが勝つかは、自分で決められる。

自分の至福を追い求めるのが難しいって人、とくにクリエイターにはぜひ読んでほしい本だね。不安とか疑念を感じるのがいいことだってわかるから。

自分の奥深くの何かが「これやめた方がいいんじゃない?」って訴えてくるのは、案外”やるべきだ”というサインだったりする。僕の信念っていうのはこんなものかな。

新しい章が始まってる

―Ericの次の目標・ゴールは?

Eric:面白い質問だね。何が面白いって、今、人生をリ・デザインしている真っ最中だから。新しい章が始まってる。

これからはどれくらいデザインをするか、どれくらいフィルムワークをやるか、どれくらいをスキーをするか、どれくらいスノーボードをやるか、どのくらい家族との時間をとるか、どんなふうに家族と関わっていくか、まだ模索してるんだ。こういうことを自分に問うて、本当にやりたいことは何か、考えてる。

目標があるのって大事だと思うから。例えば、自分が心理学者になりたいとしようか。僕は、心理学者になるためにはどうすればいいのか知らなきゃいけない。ただ、なりたいって思うだけじゃだめなんだ。具体的に何をやればいいのかを考える必要がある。こういうことって人生でも同じなんじゃないかな。

思い描く未来は、なるべく鮮明でクリアなものがいい。その方が、その未来に向かって進んでいきやすいから。

とはいえ、予想に反して今もプロスキーヤーとして活動しているから、こんなふうに先が読めない以上、僕の考えてる未来は結構不透明なものなんだ。正直、こうなるとは考えてもみなかったね。(笑)前の生活が勢い余って今もこういう形で続いてるような感じがする。

でも、以前みたいにスキーというスポーツの限界に挑んで、競技自体を進化させていくんじゃなくて、僕が昔から持っていたアイデアを反復しているんだ。繰り返しを通して、この、かつてはラディカルだった、今はスノーコミュニティで共有できうるコンセプトやアイデアを、よりはっきりと発信し続けてる。

今、自分がどんなふうに滑ることと向き合っていくのか、理解しようとしているんだ。本音を言うと、今はよくわかってないから…。(笑)前は、目の前の目標に集中してて、やることすべてがそれに向かってた。でも今は、自分があまりにも変わって自分にとってスキーってなんだろう、って見つめ直してるんだ。前と変わらないのか、まったく別のものなのか。自分はどれくらい滑れるのだろうか。カメラの前で滑るのか、友達や家族と一緒に自分のために滑るのか。何が一番僕の幸せにつながるのか。

ひとつクリアにわかっていることは、子どもたちの父親であることは、かけがえがなく幸せだってこと。そして、家族との時間を本当に大切に思う。ここ一年近くCOVID19(コロナ)のせいで子どもたちが学校に行けないから、ホームスクールで自分が子どもたちに勉強を教えてる。それがまたチャレンジングでね(笑)。僕は人生で初めて学んだよ。「忍耐」という概念を。(笑)。

今日は、このインタビューの前にはお姉ちゃんのイザベラにトランポリンでフロントフリップを教えていたんだ。僕はできないんだけどね。(笑)子どもってのはすごい、なんでもすぐに吸収してできるようになっちゃうんだから。子どもたちの成長を見守って応援するのは親の幸せだね。

Ericダディと長女のIsabella Argentina (イザベラ)

つまり、その質問に答えるとしたら、次の目標が何かはまだわからないけど、こういったどれくらい滑るか、どんなふうに滑るかってことを考えてるかな。もちろんスキーは続けるし、もともと続けるつもりではいたんだけど、まだこうしていくつかのメーカーのプロモーションにも関わってる。

だから、自分がしっくりくるスキーとの関わり方を探してるんだ。やっぱり家族や友達とも滑りたいし、その時間を何より大切にしてるから。それらを上手くキャプチャして仕事に生かせないかな、ってことも考えてるよ。

もちろん、seasonのこれからについて考えていることは山ほどあるよ。実は来季に向けて動いていることもたくさんあるし、日々それで忙しくもしてる。Season.の今後の展開については、また次の機会に話せるのを楽しみにしているよ。


―そうなんだ、それは嬉しいネ。ではEric、最後に日本のみんなにメッセージを。自撮りでお願い!

Eric:了解! Are you ready?

みんなSeason.へのサポートありがとう! そして僕へも長年に渡るサポートを本当にありがとう。心から感謝しているよ。僕は日本が大好きさ。日本の人たちもね。また早く日本に行けるのが待ち遠しいよ! 


Special thanks to Eric Pollard
聴き手:Chise Nakagawa(CAST)
インタビュー収録:2021年5月25日


インタビュアー/編集
中川知世 Chise Nakagawa
大学では体育会スキー部に所属しアルペン競技に没頭。のち山と渓谷社でスノーボード雑誌の製作に携わり、アラスカや北欧・ヨーロッパなど海外を旅まわる。1999年、USAの「FREEZE」と提携しフリースキー雑誌「Generation-X」を創刊。X-Gamesやフィルムメイキングを追いかけ世界を駆けまわっていた。USAを拠点にLINEチームと行動を共にしていたこともあり、Eric PollardとはEricが15歳のLINEデビュー時から仲良し。しばらくスキー業界のフロントラインから離れていたが、再び「STEEP」で現場に。


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