'23-24 ブランドの注目・ラインナップのトピックス
2023-24シーズンに初めてアルペンブーツに搭載したBOA®フィットシステム。第1・2バックルに替わる新たなフィットシステムだ。点や面で一方向に圧を与える従来のバックルタイプとは異なり、シェル下部に張り巡らせたワイヤーをダイヤルで徐々に締め上げることで、足全体を包み込むようなフィット感を生み出す。
この包み込むようなフィット感は、自分の足に合った締め付け方をもたらす。その良い影響から、足からブーツへ、ブーツからスキー、スキーから雪面へのパワー伝達に優れ、ターン始動時の捉えがより正確になり、限りなく雪面へダイレクトに力を与える。この性能は滑り手の感覚だけでなく、「圧力分布の向上」と「ターン時の反応性とパワー伝達の向上」が明確にデータ数値として現れている。
アルペンブーツ向けに新たに開発した「H+i1」プラットフォーム
従来のスノーボードブーツやツアーリングスキーブーツなどに搭載されていたBOAは、開発研究のなかでハードなブーツシェルに対して耐久性が低いことが判明。アルペンブーツ向けにダイヤル、レース、レースガイドを新たな構造をもつプラットフォームへと刷新。
このプラットフォームでは、ダイヤルを回すことで1クリック約0.25mmずつフィット感の微調節が行える。締めるだけでなく、緩めることも可能だ。レースはナイロンで浸透被覆コートされ撚り合わされた19本のステンレス鋼ワイヤーが、さらに90本のステンレス鋼ワイヤーに包み込まれた構造。従来のBOAのレースと比較すると格段に太くなっている。雪山という最も過酷な条件にも耐えうる254kgを超える引張強度をもつ。また、レースガイドも足を均一に締めるために重要な役割を担う。
'23-24は4メーカー26モデルが登場
今季はATOMIC、FISCHER、K2、SALOMONの4メーカーから合計26モデルが登場している。
ATOMIC
アルペンスキーの性能と歩行のための効率的な可動域を兼ね備えた、ウォークモード付きで少し細めの98mmラスト幅をもつ「HAWX ULTRA XTD」シリーズ。モデル展開はフレックス130、110、ウィメンズラインで115と95の計4モデルが登場。よりアグレッシブに新雪やピークを目指す滑り手のため、足をしっかり包みこみ、より正確なフィット感を実現する。
プロライト構造により、ロアシェルとアッパーカフの重要な部分に補強を施し、安定性が25%向上。トゥルーフレックスPUプラスチックにより、フレックスはプログレッシブかつスムースに保たれている。
FISCHER
フィッシャーからは、オンピステ用ハイパフォーマンスモデルのうち、ラスト幅100mmのMV(ミッドボリューム)ラインにBOA搭載ブーツが登場。フレックス140のPRO、130/120/110のフレックス違いに、レディースモデルにフレックス105と95、計6モデルにBOAを搭載。
PRO以外のモデルは「VACUUM(バキューム)」対応可能だ。バキュームは、まるごと加熱したシェルに実際に足入れをして、ひとりひとりの足に快適かつ高精度に成型し、フィッティングさせるフィッシャー独自のテクノロジー。熱成型を行うことで、よりヒールロックに優れたBOAブーツの良さが引き出してくれる。
レディースモデルの95はカフを低く設定、インナーの中綿にプリマロフトを注入しており、1日中快適に履き続けられるよう冷え対策も施している。
K2
BOAが誕生した年にスノーボードブーツに初めて搭載したメーカーの一つがK2だ。長年強いパートナーシップを結び続けている。ウォークモード付きでフリーライドブーツに要求されるパフォーマンスを追求した「MINDBENDER」シリーズ、ダウンヒルにおいてより高いパワー伝達とレスポンスを求める滑り手に向けた「RECON」シリーズ、オンピステでカービング能力を高めたいウィメンズに向けた「ANTHEM」シリーズのモデルにBOAを搭載。23-24シーズンに最も多い全10モデルのラインナップだ。
MINDBENDER 130のインナーにもBOAを搭載。また、K2のBOA搭載モデルは熱成型可能なパワーライトシェルで、より自分の足に合わせたフィット感を引き出してくれる。
SALOMON
エキスパート・上級者モデルの100mmラストモデルである「S/PRO SUPRA」にBOA搭載ブーツが登場。BOAに対応するため、滑らかで丸みを帯びたシェル設計とBOAフィットシステムのシェルラッピングを高める専用ライナーを開発。新しいテクノロジーである「エグゾラップ」によるホールドとフィット感を生み出す。
専用ライナーはシェルの動きに合わせて甲上の形状を変化させ足にフィットさせ、足を包み込む形でホールド。ロアシェルの甲部分には「センシフィットメッシュ」を採用。スキーパフォーマンスを損なうことなくBOAとの親和性を確保しながら、ステップインを容易にするためのメッシュ構造だ。包み込むような感覚を強化し、前足部のコンタクトポイントをさらに充実している。
エキスパート向けのフレックス130から、120、110の3レンジモデルと、ウィメンズはフレックス105と95の2レンジモデルがラインナップ。フレックス120と105はそれぞれ2カラー展開で、ギアやウエアと合わせて選べるのもポイントだ。
ブーツの寿命の限り保証が続く「BOAライフタイム保証制度」
BOAフィットシステムは、ブーツの製品寿命の期間に限って保証制度が付帯している。これは今回のアルペンスキーブーツに限ってではなく、BOAを搭載する全製品に付随しているサービスだ。万が一、ダイヤルやワイヤーが破損した場合も、BOA公式サイトから無償修理キットを取り寄せられ、自分で修理することができる。BOAブーツを取り扱うプロショップでも欲しいパーツがあれば交換可能だ。(別途取付工賃が発生する場合あり。詳しくは各ショップにて)
BRAND features
2001年、アメリカ・コロラドの地で誕生。スノーボードやサーフィンを愛する創業者のゲイリー・ハンマースラグは、前職で携わっていた医療器具分野での知識や経験をブーツの締め付け方に応用して、フィット感とパフォーマンスを劇的に改善させる可能性を見出した。数々の開発テストを経て、BOAフィットシステムが誕生。ゲイリーの熱い想いに共感したK2とVansの2社がタッグを組み、世界で初めてBOAを搭載したスノーボードブーツを販売。
その後、サイクリングやトレイルラン、ゴルフなどのシューズにも続々と搭載し、各スポーツシューズのシェアを拡大。2011年にはATスキーブーツのシェル・インナーなどにも採用。ゴルフシューズにおいては日本が圧倒的なシェア率を誇る。現在は本社とラボがある米コロラド・デンバーを中心に、オーストリア、日本、韓国、中国にも拠点を構える。
BRAND info
BOA® Fit System(ボアフィットシステム)
公式サイト:https://www.boafit.com/ja-jp
取扱い/BOA TECHNOLOGY JAPAN 株式会社