スノーヘルメットのトリセツ | 選び方と安全性のポイント

ヘルメットを選ぶ基準は何だろう? ヘルメットを着ける意味合いから当然「安全性」が一番であることは想像に容易いが、その安全性は何を根拠に謳われているだろう。また、いくら安全でも、被り心地が悪く長時間の着用が困難だったり、ライディングのパフォーマンスを激しく損なうものでは困る。そこであらためてヘルメットの機能を理解し、選び方のポイントを知っておこう。

INDEX
POINT 1_ヘルメットの必要性
POINT 2_スノーヘルメットに求められる機能
POINT3_スノーヘルメットの構造とパーツの名称
POINT4_多方向衝撃緩衝システムMIPS
POINT 5_サイズアジャストシステム
POINT 6_スノーヘルメット選びの注意点
POINT 7_スノーヘルメットの保管
’21₋22モデル スノーヘルメット PICK UP


POINT1 | ヘルメットの必要性

あなたはヘルメットを被って滑っているだろうか? 近年、ヘルメットの着用は欧米に習い一般的になりつつある。ツリーランやバックカントリーなど、滑走のシチュエーションが広がってきたこともあり、いつ起こるかわからない自然の危険から頭部を守る必要性が重要視されるようになってきたからだ。近年では、スキー場内のツリーランエリアや非圧雪エリアでもヘルメット装着が義務付けられているところも多い。

また、パークスキーヤー・スノーボーダーにとってはジャンプで転倒した際のリスク回避のためにヘルメットは絶対に欠かせない。こちらは危険度の高さが想像できるゆえ、ヘルメット着用はかなり浸透している。

ヘルメットの命題はひとつ・頭を衝撃から守ることだ。頭の打ちどころが悪ければ命を落とすこともあるし、そうでなくとも脳機能に障害が残ったりすることもある。そのようなリスクを最大限に避けるために、安全に雪山を楽しむために今やヘルメットはスマートスキーヤー・スノーボーダーの必需品だといえる。

写真提供:夏油高原

POINT2 | スノーヘルメットに求められる機能

頭を衝撃から守るというミッションを果たすために、ヘルメットに求められる機能性は複数ある。大きく分けるとこのような要素が考えられそうだ。最も重要な安全性を左右するのがヘルメットの基本構造。

ヘルメットは基本「アウターシェル」と「ライナー」の2層構造となっているが、両者の素材と組み合わせ方(構造)によってさまざまな違いが出る。加えて、シェルとインナーの間にある「多方向衝撃緩衝システム」が採用されているかどうかも重要な着目点となる。当然ながら、フィット性に欠けていてはせっかくのシステムも効果的に機能しない。

また、ヘルメットの重さも滑走時の快適性やパフォーマンスに与える影響はもちろん、安全性にも繋がるポイントだ。長時間着用するには、かぶり心地がよくないと辛い。快適性を向上させるうえで、ベンチレーションやインナーの素材にも注目したいところだ。

POINT3| スノーヘルメットの構造とパーツの名称

スノーヘルメットの頭部をカバーする部分は大きく分けて外側のシェルと内側のインナーから成り立っている。直接ダメージを受けるシェルには内部を守るために硬い素材が使われ、インナーには衝撃を和らげるためにクッションのような素材が使われる。

ヘルメットはシェルの結合方法によって構造が2つに分けられる。「ハードシェル構造」と「インモールド構造」だが、構造の違いによって特長が異なるので着目しよう。

ハードシェル構造

シェルとライナー(衝撃を緩衝させる素材)を別々に製造し、接着剤で貼り付けるというもの。アウターに高強度な素材を用いた場合など、少々の衝撃ではシェル自体が凹んだり亀裂が入ったりしない。頑丈で耐久性が高く、より高い安全性を確保できる。全体的にスリムに見えるという利点もある。

インモールド構造

シェルとライナーを同じ鋳型にいれて整形するもの。接着剤を使わないので、それぞれが剥がれづらく、品質も高くなる。アウターに用いる素材も軽いため、全体的に軽量化につながる。軽さと強度を併せ持つシェル構造。飛んだりテクニカルな動きをするために軽さを重視するパークスキーヤー・スノーボーダーに人気が高い。

GIRO |JACKSON MIPS

各パーツの名称

いかにもムレを防いでくれそうなメッシュ素材が使われている

インナー 

インナーの役割は保温機能と吸汗機能、そしてフィット感の向上だ。各メーカーで保温性と透湿性に優れるファブリックを用いたり、抗菌防臭機能を持たせたりなど細かい改良が施されている。取り外し可能なタイプがほとんどだ。

ストラップやバックルのスタイルにも要注目

ストラップ&バックル

あごを押さえるストラップはバックルの違いが大きい。サイドリリースバックルと磁石式のバックルだ。前者は使い勝手は良いが、グローブをしているとやや扱いづらい。近年は高品質モデルになるほど片手で扱える磁石式バックルが多い傾向にある。

イヤーパッドは取り外すとこのような姿

イヤーパッド

ハイシーズンには耳が覆われていることで暖かく、フィット感も増すことでイヤーパッドは利点がある。一方で、スプリングシーズンやバックカントリーでハイクしているときに蒸れたり、暑いと感じることもある。よってイヤーパッドは着脱式が便利。取り外して洗っておけば、汗や匂いもとれて常に清潔に使うことができる。

ヘルメット前部から後部へ空気が抜けていくベンチレーション

ベンチレーション

蒸れを解消するためのベンチレーションは必須。換気力はもちろん、上部で通気口を開閉できるかどうかも重要なポイント。また、ゴーグルが曇らないよう、ヘルメット内の湿気を上手く逃がせるかというマッチングも重要になってくる。


POINT4 | 多方向衝撃緩衝システムMIPS

滑走中の転倒における脳へのダメージは、じつは衝撃の威力だけでなく斜めから加わる回転エネルギーの影響も大きい。それを軽減する画期的な仕組みが、多方向衝撃緩衝システムの「MIPS(ミップス)」だ。

一般のヘルメットは正面から受ける衝撃を吸収するようにデザインされている。しかし、インナーに仕込まれたMIPSは斜めから受ける衝撃エネルギーをも受けとめ、緩和させることができる。シェルとインナーが別々に動くことで回転エネルギーをシェル側で受け止め、インナーは動かずに脳の振動を防ぐことができる、というわけだ。

Mipsはこのようなもの(イエローやブルーの丸いシールの貼ってあるパーツ)

文字や写真だけで想像するのはちょっと難しいので、Mipsの理解には、こちらのGIROによる動画を見ると手っ取り早い。

脳を守る最新ヘルメットテクノロジー「MIPS」とは? 

POINT5 | サイズアジャストシステム

多くのヘルメットは頭囲5cm程度であればアジャストシステムによってサイズ調整ができる。優れたフィット感を実現するために、今では標準装備に。BOAシステムなどに代表されるダイヤル式が扱いやすい。締めるのも緩めるのワンタッチなので、着脱も簡単だ。

中央にあるアジャスターダイヤルを回すことでサイズの調整が可能

Photo / Daniel Honda

POINT6 | スノーヘルメット選びの注意点

ゴーグルとの相性

まずは、使用想定のゴーグルと合うかどうかをチェックしよう。ゴーグルとのマッチングによってヘルメットのフィット感にマイナス影響が出てしまったり、隙間が開いてしまうことのないヘルメットを選ぼう。

サイズ・フィット感

そして、次に最も重要なのはサイズが合っているか、そのフィット感。被ったときに不快な圧迫感や痛いところはないか、大きすぎてルーズでないかをチェック。これはアジアンフィットモデルを選ぶと話が早い。日本人と欧米人は顔面の凹凸だけでなく頭の形状が大きく異なるのだ。頭に合わないものでは安全性が落ちるし、何より快適でない。

モデルの特性をチェック


ゴーグルとの相性・フィット感を確認した上で、各モデルの特性や性能、機能を見ていくとよい。シェルの素材と構造、MIPSに代表される多方向衝撃緩衝システム搭載の有無や軽さなどのバランスを自身の滑走スタイルに合わせて鑑みる。最後に機能性という順番で見ていこう。


POINT7 | スノーヘルメットの保管

保管は直射日光の当たらない風通しの良い場所で行うこと。保管環境が悪いとシェルの結合などに用いられる接着剤が劣化して剥がれてくる原因に。押し入れに入れるという人もいると思うが、湿気が多いのでおすすめできない。また、壁にかけるなどの一部分に重さが加わる保存はシェルに使用されるプラスチックに負担がかかるため、平置きがベスト。

また、インナーやイヤーパッドも使用後の汗を吸ったままの状態で放置しておくのは衛生上も気分もよくない。取り外して水洗いで手洗いし、陰干しでしっかりと乾燥させてから保管しよう。

インナーやイヤーパッドも取り外して洗い、清潔に保管を

POINT8 | ヘルメットの買い替え時期

交換時期はメーカー推奨として、3~5年が目安だ。丁寧に扱っていたとしても、接着剤の劣化などが出てくる場合があるからだ。シェルに使用される発泡スチロールも経年劣化する。また、ライナーにEPP(ポリプロピレン)素材を採用していない限り、基本的に大きな衝撃を一度受けたら買い換えたい。ヘルメットは一度ダメージを受けたら元に戻らないのだ。EPPは復元性があり、ある程度の衝撃なら複数回、耐えることができる。


’21₋22モデル スノーヘルメット PICK UP

ヘルメットはその機能性やデザイン性によって価格帯にも意外と幅がある。機能の特長もチェックしながら、自分のニーズにマッチしたヘルメットを探したい。参考までにプライスレンジで’22季のモデルの一部を紹介しよう。

1万円台

OUT OF

WIPE OUT
1万3200円
S~L/全8色

高い安全性と8色という豊富なバリエーションが特長。ABS構造シェルとEPS発砲スチロールによって、さまざまな衝撃から頭部を保護。シルエットとロゴデザインがスタイリッシュで人気。コストパフォーマンスも高い。

https://out-of.com/ja


OAKLEY

MD3
1万8700円
S~L/全6色

OAKLEYのヘルメットは当然、根強い人気のゴーグルとの相性もバッチリ。重厚なテイストながら軽量なインモールド構造、インナーは消臭抗菌テクノロジー素材の採用により長時間着けていても快適だ。

https://www.oakley.com/ja-jp


K2

ROUTE
1万9800円
S~L/XL/全3色

軽量素材を用いたインモールド構造の上、小さなベンチレーションを多数設定することで、さらに軽量化を実現。重さは実に320gとスノーヘルメットとしては最軽量レベル。イヤーパッド取り外し可能。見た目のタフさも魅力、K2ブランドファン好みのテイストだ。

http://www.k2japan.com/


SWANS

HSF-240
1万9800円
M,L/全3色

シェルに軽い素材を使用し、シェルとインナーの間に特殊素材のメッシュを挟むことで衝撃の振動を分散させる。軽量性と機能性を併せて安全性を追求した。価格のバランスもよい。SWANSゴーグルとの併用でフィット感は保証つき。

https://www.swans.co.jp/product/

2万円台

POC

OBEX PURE
2万2000円
XS/S~XL/XXL/全5色

ゴーグルもフリースキーヤーに人気のPOCの定番ヘルメットの進化形は、より軽量に。インモールド構造でシェルには耐久性・軽量性の高いポリカーボネイトを採用。シンプルながらも色使いやデザインに独特のテイストを醸し出している。

https://www.full-marks.com/poc/


SHRED

TOTALLY NOSHOCK
2万2000円
S~L/全5色

独自の特許技術である多方向衝撃緩衝システムを採用。ライナーも衝撃を分散させる素材を組み込み、高い安全性を確保。ベンチレーションも充実。イヤーパッドがフカフカで温かい。

http://www.ilp-inc.jp/shred/index.html


Cairn

XPLORER RESCUE MIPS
2万4800円
S~XL/全5色

フランス発のプロテクションブランドcairn(ケルン)の人気モデルXPLORER RESCUEがMIPS搭載でグレードアップ。二種類のハードシェルのハイブリット構造に軽量かつ高いベンチレーション性能を持ち、RECCOリフレクターも搭載。

https://cairn-sport.com/en_US/


GIRO

EMERGE SHPHERICAL
2万6400円
S~L/全3色

ヘルメットの名門GIROがMIPS社とコラボレーションで開発した次世代衝撃緩衝システム「スフェリカルテクノロジー」を搭載。2層の衝撃吸収材が10㎜~15㎜動くことによって衝撃エネルギーを格段に分散させる。

http://giro-japan.com


SWEET PROTECTION

IGNITER Ⅱ
2万9700円
SM~XXL/全2色

Sweet Protectionのモデルの中で一番軽量なオールラウンドモデル。シェルは強固なABSプラスチックを採用、耐久性と防御性に優れる。個性的なベンチレーションは前頭部と頭頂部にあり、涼しく快適な装着感を実現。同価格帯のヘルメットの中で軽量性・耐久性・耐衝撃性のバランスがよく、コストパフォーマンスが高い。

https://sputnikshop.jp/pages/sweetprotection-toppage

3万円台

SMITH

ALTS
3万250円
M~XL/全4色

軽量かつ耐久性が高いインモールド構造に加え、転倒時に最も衝撃を受けるゾーンに衝撃を分散させるKoroyd素材を採用。独自のベンチレーションシステムによりゴーグル内部の湿った空気を外に排出してくれるので快適、シルエットもシャープで、機能性とデザイン性の融合を実現。

https://smithjapan.co.jp/


SMITH

CODE
3万7400円
M,L/全1色

MIPSに加えて特許の“Koroyd”マテリアルを採用したエアロコア構造が衝撃を分散させる。ライナーにはニットビーニーの感触とフィットを助けるテクニカル・ニットライナーを装着し、アジアンフィットで頭全体360度を包み込むフィット感を実現。スケートスタイルのデザインもいい。

https://smithjapan.co.jp/


POC

CODE
3万8500円
XS/S~XL/XXL/全4色

MIPS搭載、シェルに2種類の素材を組み合わせることで衝撃の加わりやすい部分を頑丈にしながらも軽量性は確保。耐衝撃性の強化だけでなく、RECCOリフレクターまでついていて安全性もネクストレベル。バックカントリーユースにもってこいだ。

https://www.full-marks.com/poc/


SWEET PROTECTION

SWITCHER MIPS
3万9600円
SM~XXL/全10色

MIPS搭載だけでなく、ヘルメットの内側が受ける衝撃を外側の広い領域へ分散させる独自の衝撃保護テクノロジーも搭載。ワイドフィットで通気性が抜群。軽量性を保つために複数パーツから成るハイブリットシェル構造だ。世界の権威あるプロダクトアワード(賞)も受賞したモデル。

https://sputnikshop.jp/pages/sweetprotection-toppage

4万円台

GIRO

GRID SPHERICAL
4万9500円
S~L/全7色

MIPS社との共同開発により実現した、一定の衝撃で生じる回転エネルギーを和らげる「スフェリカルテクノロジー」を搭載した最軽量のハイエンドモデル。インナーにはポーラーテック採用で保温性、速乾性と通気性を確保し、快適性は段違いだ。ストラップは磁石式で便利。

http://giro-japan.com

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